エレベーターボタン1000個押し放題の工場見学で話題のエレベーターの意匠器具を手掛ける島田電機製作所。実は、出勤時に社員一人ひとりが必ず押す社員全員のやる気ボタンがあったり、自社レーベルを立ち上げてボタンのテーマソングを本気で作ったりと、さまざまなユニークあふれる取り組みをしています。広報の大森さんにその背景について詳しく伺いました。

入り口にはエレベーターと見せかけた押し扉

—— エレベーターの意匠器具をオーダーメイドで製作する会社ということですが、歴史は長いのでしょうか?

 

大森さん:

創業は1933年、来年90周年を迎えます。創業当時はまだエレベーターは広く普及しておらず、下請けの町工場からスタートしました。現在は八王子に本社がありますが、それまでは東京・世田谷区の烏山で70年間にわたって操業をしていました。

東京・世田谷の烏山工場

—— 現在の八王子の工場は一般的な「町工場」のイメージとは異なりますね。

 

大森さん:

開放感あふれる明るくユニークな雰囲気なので、初めて工場見学にいらした方は「これって工場?」と驚かれます。

ゆるキャラのボタンちゃんがお出迎えしてくれる
オフィス入り口には人気のキーホルダーのカプセルトイも!
工場内の様子

烏山の建物は、「町工場」と聞いてみなさんがイメージするそのままの町工場でした。

 

2013年に5代目社長の島田正孝が就任をしたのを機に、「過去にとらわれず弊社らしさを進化しよう」と、八王子に移転し、今の新しい工場が生まれました。

「発想スペース」ここからさまざまなアイデアが生まれた

ただ、引っ越した当初からこのようなスタイルではありませんでした。例えば、今は完全にオープンスペースになっていますが、当時はオフィスエリアとモノづくりの工場エリアは、同じ建物内にありながらも分かれていましたし、さまざまなアイデアを生み出すための「発想スペース」もありませんでした。

 

—— いつ、今の形にリニューアルしたのですか?

 

大森さん:

2020年に会社のスローガン「難しいは新しい、だから面白い!」をもとに大規模なリノベーションを行いました。モノづくりの現場ですから、クリエイティビティを刺激するような空間にしたいという思いが背景にありました。

お食事&休憩スペースの「ボタンちゃんカフェ」

そこで、建物内の部屋と部屋を区切る壁を取っ払い、すべてのエリアをひと空間に。また、エレベーターと見せかけた押し扉を工場の入り口に設けたり、エレベーター同様の押しボタン式の「やる気ボタン」を設置したりと、想像のちょっと斜め上を行く仕様になりました。

社員のやる気ボタンを入り口に設置

「やる気ボタン」には、自分の好きなポーズのモノクロ写真とやる気の出る言葉が添えられていています。朝、「やる気ボタン」を押すと、なんとなくやる気のスイッチも入るような気がするので不思議です(笑)。

やる気ボタンを押してパワーチャージ

また社員が休憩する社員食堂「ボタンちゃんカフェ&バー」では、仮眠がとれるリクライニングシートや、勤務後にお酒が無料で飲み放題のバースペースもあります。

仕事の後は「ボタンちゃんカフェ&バー」へゴー!

—— 居心地が良く、会社に住めそうです。皆さん同じロゴ入りのTシャツを着ていますが、これは制服なのでしょうか?

 

大森さん:

そうです。工場の制服がTシャツというのもユニークかもしれません。Tシャツは全部で30色あります。何色を着るかは本人の自由で、その日の気分に合わせて自分が好きな色を着ることができます。

自分好みのTシャツをチョイス

ちなみに、これからの温かい季節になると、オレンジなどビビッドなビタミンカラーを着る人が増えて、工場全体がより明るく、カラフルな雰囲気になります。ここも工場らしくない点かもしれませんね。

 

社長は「自分が働きたくなる会社」を目指しているそうです。自分のやりたいことを「島田ブック」という冊子にまとめていて、それをひとつひとつ具現化していっています。