「麻酔なしで神経を抜いた」理由

── 歯をテーマにした絵本も書かれてますよね。

 

鳥居さん:

はい。歯ってすごく奥深いですよ。私、顎関節症の説明しすぎで、顎関節症になりました。

 

── (笑)。

 

鳥居さん:

いまだにガクガク。私、やったことないことをやりたいんですよ。だから、麻酔しないで神経を抜く、とかやってみたんです。

 

── ひっ…。

 

鳥居さん:

気絶するほど痛いので、良い子は真似しないでほしいんですけど。なので、矯正も体験してやってみました。歯のことをかじってるのに、やったことないことが多すぎて恥ずかしいなと思って。

 

人に説明するのに、人の痛みって本当に自分が受けないとわかんないじゃないですか。

 

── 痛みを知る…ですね。でも、それを実際に行動に移せるのもなかなかないですね。

 

鳥居さん:

たまにね、歯医者さんのお客さんで「私、本当に麻酔効かないから、もうなしでいいわ。そんなに痛い?」って言う人いるんですけど、「めっちゃ痛いです」っていうことを伝えると、打ってくれるんです。

 

だから、ちゃんと伝えられるようになってよかったと思いますね。

髭男爵・山田ルイ53世の助言がヒントに「ヒットエンドラン」

── 鳥居さんに「ヒットエンドラン」のネタのイメージを持つ人も多いと思うんですが、それはいつごろ生まれたんですか?

 

鳥居さん:

サンミュージックに入ってからですね。私は単独ライブをやれればいいと思ってたんですよ。単独ライブやりたいから、売れなくてもいいやって思ってたんです。テレビとか興味なかったし。

 

でも、知名度がないと、単独ライブにも人が来ないし、お金をかけられないんですよ。やりたいことができないと気づいて、それで「テレビ出たいな」になって。でも、ネタを変えたくないって思っていたんです。

 

そしたら、先輩の、髭男爵の山田ルイ53世・・・あ、今何世だ?時代が変われば変わる?

 

当時は何世だったかは忘れちゃいましたけど「やりたいことだけをやっても近道かどうかわかんないよ」って言われたんです。

 

「遠回りした方が、もしかしたら実際には近道かもしれないよ」って言われて「そうだな」と思って。「いちばんやりたくないことを組み合わせてやれ。それをやったとしても、本当にやりたくないことはやらないから」って言われたんです。

 

だから自分がやれる範囲の、やりたい方向と逆のことをやったんです。

 

── それが「ヒットエンドラン」だったんですね。

 

鳥居さん:

そうです。リズムネタとか、そのときちょうど流行っていて。リズムネタは嫌だな、って思っていたのと、衣装を着るのも嫌だったんですよ、フラットな状態で出るのが好きで。

 

キャラを作るのも、モノを持ったりするのも嫌いだったんですよ。