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業界未経験の元ナースが「女性・子育て専門」自分に“正直”な不動産会社を立ち上げるまで

仕事

2022.04.30

2022.05.02

SNSでも積極的に発信するまるこさんSNSでも積極的に発信するまるこさん

山下智久さんが、ウソをつけなくなった不動産営業職を演じるドラマ『正直不動産』(NHK)が話題ですが、福岡県で独自の事業をしている業界未経験だったママがいます。

 

元看護師のまるこさんは、「福岡子育て不動産」のアカウント名で、YouTubeやTwitterでも情報を発信。反響があるようです。

 

40代のワーママでもある彼女が、個性的な不動産業を始めた理由や、その転機を聞いてみました。

大手の不動産会社とは違い…

──「福岡子育て不動産」とはどんな不動産会社なのですか?

 

まるこさん:

「女性や子育て世帯専門の不動産会社です。業務内容は賃貸仲介を主に行っています。

 

女性のお客さまから月に数件、賃貸マンションのご相談をお受けしています。子育て世帯のお客さまからも少しずつですが、お問い合わせをいただいています。

 

大手の不動産会社のように慌ただしくないので、お客さまのご希望やご相談をじっくりうかがうことができ、お喜びの声もいただいております。

女性スタッフのほうが安心できる女性客が多い(イメージ)女性スタッフのほうが安心できる女性客が多い(イメージ)

女性は不動産会社に緊張する

──子育てや女性専門にしたきっかけを教えてください。

 

まるこさん:

女性が不動産会社へ電話をかけることは、とても勇気のいることだと感じたからです。

 

現在は、女性が対応している会社も多いようですが、大学時代の友人たちが賃貸の物件探しをしているときに、“不動産会社に電話をかけ、男性営業マンと話すのはとても緊張する”と言っていたことは覚えています。

 

“不動産の知識がなくて相談しているのに、グイグイと話をされて、どうしたらいいのかわかない”というものでした。

 

──福岡子育て不動産では、どう対応するのですか?

 

まるこさん:

電話が苦手なお客さまの物件のご相談を、LINEで気軽にできるような仕組みを開業前より考えていました。

 

実際には、個人経営で外回りが多いのと、お客さまに店舗へ来ていただく負担を減らすために完全予約制で、まずは「福岡子育て不動産」のTwitterやLINEから相談を承っています。

 

お客さまの立場になった場合、自分はどう行動するか、何を質問するか等、毎日シミュレーションを行い、独自の業務フローを立ち上げることに成功しました。

 

私は、不動産会社に勤めていたことがないので、実際には複雑な貸主さんや管理会社さんとのやり取りや関係を自分で学ぶ必要があり、その点は苦労しました。

子育て世代からの依頼も多いまるこさん(イメージ)子育て世代からの依頼も多いまるこさん(イメージ)

──女性や子育て世帯からはどんな要望が多いですか?

 

まるこさん:

特に単身女性のお客さまのご希望は、防犯面(オートロック必須)、周辺環境の良さ、物件の清潔さなどです。

 

子育て世帯のお客さまは、お子さまが小さい方は特に騒音問題を気にされています。

 

マンションの場合、お子さまの足音が他の方に迷惑にならないような階数を、希望の階数がない場合は、戸建てを検討されることもあります。

慢性期病棟で急変対応や看取りも

──まるこさんは元々、看護師だったそうですが、どんな経歴なのですか?

 

まるこさん:

高校を卒業後、看護大学に入学しました。看護師を目指したのは、父が病で倒れ長期入院した際、支えていただいた看護師さんのように自分もなりたいと思ったことがきっかけです。

 

看護師免許を取得後、長期療養が必要な慢性期の病棟に就職しました。

 

ご高齢の患者さまが主で、急変対応や看取りも行っていました。疾患に加え認知症の患者さまも多かったです。

看護師の経験で臨機応変の対応ぶりが身に付いたと話すまるこさん(イメージ)看護師の経験で臨機応変の対応ぶりは身に付いたそう(イメージ)

──結婚、出産後も看護師を続けていたそうですね?

 

まるこさん:

看護師として慣れてきた20代後半で結婚しました。出産後、半年で職場復帰しましたが、夜勤ありのフル勤務でした。

 

両親にはいっさい頼れない環境だったため、子どもを保育園に預けながらの共働きでした。

 

家族のため、患者さまのためと思い当時は必死でしたが、今思えば無理をしていました。

 

夫の理解や協力はありましたが、48時間起き続けていることも多々あり、徐々に不眠症に。

 

その結果、体を壊し退職しました。体調が整うまで数年を要しましたが、家族の支えで回復しました。

自分が休むと迷惑がかかるので…

──そこまで働きづめだったのですか?

 

まるこさん:

病棟勤務となると夜勤は必須、さらに人手不足のうえ激務でした。

 

自分が休むと迷惑がかかる、病棟(の仕事)が回らない、そんな考えが無理をせざるを得なかった理由です。

 

人員不足から激務となると、人間関係も疲弊していきます。

 

特に子育て中は、子供の急な病気で休まざるを得ないこともあり、気まずさもありました。

独学で宅建を取得したまるこん(イメージ))独学で宅建を取得したまるこさん(イメージ)

自分の裁量で働き新しいことに挑戦

──不動産取引に必要な宅地建物取引士(宅建)の資格は、どういう経緯で取りましたか?

 

まるこさん:

看護師になってから、独身時代で余裕がある時期に、看護職の他に何か違うことも勉強しようと思い、独学で合格しました。

 

宅建は独学でも取得可能という話もありましたが、法的な内容が難しかったです。

 

スキマ時間を活用して参考書を読み続け、過去の問題を解き続けることを繰り返しました。

 

──ナースから不動産会社を志した理由を教えてください。

 

まるこさん:

人生の中で自分の裁量で働ける仕事を開拓し、新しい事にチャレンジしたいという思いが芽生えたからです。

 

せっかく新しいことを始めるのだから、子育てで苦労している方々や女性の役に立つような仕事をしたいと考えるようになりました。

 

独立開業と、子育て・女性のためになるビジネスということで、子育て世帯・女性専門の不動産会社を立ち上げることにしました。

 

人工減少による空き家問題は深刻になっている(イメージ)人口減少による空き家問題は深刻になっている(イメージ)

空家の管理事業も

──これからの目標や事業展開はどう考えていますか?

 

まるこさん:

福岡子育て不動産のこれからの目標は、子育て世帯のお客さまに認知されることです。

 

私自身も子育て真っ最中のため、同じ思いで悩まれている方の心の支えになれたらと思っています。

 

子育てをするなかで感じたことは、住環境の大切さです。

 

ご希望の物件案内はもちろん、物件のご紹介時にその場所で暮らしたときのシミュレーションを行い、快適な住環境が整っているかも一緒にお話したいと考えています。

 

また、現代は空き家問題も深刻化しています。弊社は空き家管理事業も立ち上げています。

 

ご両親の大切なお家が空き家の状態で、お悩みの方の力になれたらと思っています。

 

空き家管理事業は、空き家の状態を確認し、所有者さまにご報告する業務を行っています。

 

今後は、家が不要になったけれど、売りたくないし貸したくない、ただ現状を維持したいという需要が増えると感じています。

 

空き家管理業務をより多くの方に知っていただき、利用してもらうために業務の周知活動を積極的に行っていきたいです。

現在では落ち着いて子育てができるというまるこさん現在では落ち着いて子育てができるというまるこさん

──母親として目指すことはありますか?

 

まるこさん:

子どもが産まれてから小学校低学年まで、目まぐるしい生活を送っており、家族写真のなかの私の表情はすべて疲弊していました。

 

これからは、母として子どもが様々なことに安心してチャレンジできる環境を、つくっていきたいと思います。

 

自分にも顧客にも“正直”であろうとする、まるこさんの不動産会社の今後の展開が楽しみですね。

 

PROFILE まるこさん

福岡県生まれ。大学卒業後、看護師に。2021年に「福岡子育て不動産」を開業。夫との間に1児。

取材・文/CHANTO WEB NEWS 写真/まるこさん、PIXTA

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