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「病院や薬で改善しなかった私を救った東洋医学と独立」美容鍼灸師・倉内夕さん

仕事

2021.10.24

鍼(はり)を持つ倉内夕さん鍼を持つ倉内夕さん

東京・自由が丘で鍼灸(しんきゅう)に美容を取り入れたサロン「TotalBeautySalon Hariest」を開業している倉内夕さん(33)。

 

完全紹介・予約制で住所非公開にしているのは、お客さんはもちろん倉内さんにとっても最良の空間にしたいからです。神戸の女子大学生が、人気のはり師になったきっかけを聞いてみました。

学生時代に患った病気がきっかけで…

「コロナ禍になり、運動不足で太ってしまった、マスクによる肌荒れができてしまった、免疫力を上げたいというお客さまが増えました。

 

それぞれ、日常生活の指導をして、場合によっては鍼(はり)をうち、血流をよくして細胞を活性化する施術を行っています」

 

そう近況を説明する倉内さんが、鍼灸などの東洋医学に興味を持ったのは神戸の大学生時代のこと。

 

「大学3年生になり、就職活動を始めたころでした。最初は、一般企業のOLになるつもりでしたが、そういう仕事を一生やっていけるのかという疑問がわき、手に職があったほうがいいのではと考えるようになりました」

学生時代の体調不良を語る倉内夕さん

不安感に襲われるパニック障害も

このころに、倉内さんは体調を崩してしまったそうです。

 

「就活と並行してアルバイトやサークル活動もして、生活が不規則だったせいだと思います。

 

自律神経失調症になってしまいました。日常生活は何とか送ることができたのですが、微熱が1~2か月続いたり、食欲が落ちたり、めまいがしたり…。

 

突然、不安感に襲われるパニック障害のような症状も出てきました。

 

総合病院で検査をしたのですが、器質的な異常はないということで心療内科の受診を勧められました」

 

ところが、この病院は完全予約制で数か月先まで予約でいっぱい。

 

自分で体調を整えるしかないと思った倉内さんは、東洋医学と出会うことになりました。

大学生時代の倉内夕さん(本人提供)大学生時代の倉内夕さん(本人提供)

西洋医学ではなく東洋医学の道へ

「西洋医学は、病気になってからの投薬や手術をする対処療法が基本ですが、東洋医学は病気の原因を突き詰めたり、症状が出ないように体質を改善したりする考え方です。

 

病院で改善できなかった私はそこに魅力を感じ、静かな部屋に座って呼吸を整えたり、体を温めたりする、東洋医学的なトレーニングを始めました

 

「手に職」の考えもあったので、倉内さんは一般企業への就職は断念。

 

東京に、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得できる専門学校があり、そこへの進学を決めたそうです。

 

「神戸の大学に通っていたので、そういう進路を選ぶ学生はおらず反対する人もいましたが、転地療養もかねて専門学校に進むことにしました。

 

実技重視の学校なので、授業はハードでしたが、東洋医学的知識も身につき、周囲に鍼灸ができる人もいる環境だったので、体調は安定しました。

 

“病は気から”という言葉がありますが、大学生時代を振り返ると、まさにその通りだったと思います。

 

何か重い病気なのかもという不安が、さらに病状を悪化させていたと思うので、東洋医学は学ぶことが多かったですね」

インタビューに応える倉内夕さん

鍼灸を若い女性にも広めたい

無事、3つの国家資格を取得した倉内さんですが、鍼灸という“ニッチ”な世界に限界を感じたといいます。

 

「鍼灸の年間受療率は10%もないというデータがあり、私のことを“若い女性の鍼灸師もいるんだ”という反応も多くありました。

 

そこで、鍼灸に美容の要素を取り入れて、若い女性にも広めていきたい思いが強くなり、表参道の美容鍼灸サロンに就職することになりました」

 

美容鍼灸と言われてもピンと来ない人もいるかもしれませんが、倉内先生はこう説明します。

 

「顔や頭皮に鍼をうつことは通常の鍼灸でも行いますが、そうして開いた微小な穴や、活性化した細胞に美容液を浸透させるなど、効果を高めるものが美容鍼灸だと考えください」

縛りがないフリーの道を

美容鍼灸の世界で多忙な日々を過ごすようになり、体調が万全ではないときもあった倉内さんですが、規則正しい食事と睡眠時間や呼吸には気を配っていたそうです。

 

表参道のサロンを2年ほどで独立。広尾のレンタルサロンで、現在の「Hariest」をオープンさせました。

 

自由が丘の閑静な住宅街の一角にある倉内さんのサロン自由が丘の閑静な住宅街の一角にある倉内さんのサロン

 

「やはり正社員だと、毎日決まった時間に決まった場所で、決まった仕事をしなくてはならないので、縛りがないフリーの道を選びました。

 

会社員とフリーは、向き不向きやメリットやデメリットがあります。

 

でも、私は都合のいい時間に楽しくお客さまを見ることが体調にもよく、お客さまにとってもそれが最良だと思い、独立しました。

 

ですから、サロンの売り上げは決していいというわけではありません。美容関連の人気商品を置き、お客さまに使ってもらえば、利益は上がります。

 

でも、その商品の成分が本当にお客さまのためになり、私が納得できるものでなければ取り扱わないことにしています」

インタビューに応える倉内夕さん

サロンを大きくするつもりはない

商売上手ではないと笑う倉内さんですが、それを補うための仕事もしているそうです。

 

「副業で、CAD(キャド)オペレーターをしています。建築やデザインの図面を製作する仕事ですが、パソコン1台あればできる仕事なので、これも自分の裁量でストレスなくできます。

 

将来的にサロンを発展させるつもりはありません。スタッフを雇い、支店を出すことになれば、売り上げを出さなければならず、私の目指す方針とは合わなくなるからです。

 

これからは、いつも施術に来てもらわなくても在宅で可能な美容鍼灸の情報発信に力を入れていきたいと思います」

 

自身の体調とお客さんの悩みに向き合いながら、倉内さんが最良と考えるサロンができつつあるようです。

 

PROFILE 倉内 夕さん

くらうち・ゆう。1988年、兵庫県神戸市生まれ。甲南大学経済学部卒業後、専門学校で、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得。2018年、TotalBeautySalon Hariestを広尾に開業。‘19年、自由が丘に移転。日本温活協会でも活動中。

文・撮影/CHANTO WEB NEWS 

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