制度を活用することでしっかりと成果を出したい

──誰でも制度を利用できる環境になって、いっそう働きやすくなったんですね。他にも仕事を進めるうえで心掛けていることはありますか?

 

依田さん:

私は過去に子どもの入院で突然休むことを経験したので、急に会社を休んだとしてもスムーズに仕事が回るように工夫しています。基本的なことですが進捗はメールにCCを入れて情報共有する、他にも自分も休むことがあるからこそ、積極的に休んだ人の仕事のフォローをするようにしています。子育て中ではない社員に負担が偏るのは違うと思うので、そうした人たちに頼り過ぎないことも気を付けています。同じ立場の熊谷さんには、何度フォローされたか…!

 

熊谷さん:

お互い様ですよ!(笑)

 

同じチーム内での連携も大切ですが、家族間での協力体制も不可欠だと思います。私の場合、研修が入る日は、事前にお願いしてパパに保育園の送迎を頼んでいます。

 

浦川さん:

子どもの保育園の送迎を夫婦で分担している社員は多いですね。チーム内のパパ社員も、ママの負担が重くならないように朝子どもを送ってから出社する人が多いです。遅く出社する社員がいても気にならなくなりました。

 

──ママであり社員でもあるからこそ、チームや家族など周りと協力しながら働く姿勢は大切ですね。最後に、これからの仕事での目標についてそれぞれお聞かせください。

 

川口さん:

ダイバーシティ&インクルージョン推進のKPI*を2027年度に設定していますが、その達成を通じて経営上の成果につなげていくことを考えています。また直近では、短時間勤務のフレックスタイム制なども検討中です。働きやすい仕組みは整ってきましたが、働きやすさはゴールではありません。自分の特徴や能力、経験を充分に発揮することが「働きがい」につながるので、その支援をしていきたいと考えています。

*Key Performance Indicatorの略。「重要業績評価指標」のこと。

 

浦川さん:

「仕事を頑張りたい社員」を支援していきたいです。公募制の社員研修で、「子どもの急な休みにも対応します」とメールに一言添えただけで「参加しやすくなった」と連絡をもらったことがあるんです。「そんなことでいいなら、いくらでもやるよ!」と目から鱗で…。会社のビジョンに対して社員の個性や考え方を発揮してもらわなくてはいけないので、自分に最適な制度を活用してもらえるように促していきたいです。

 

依田さん:

アンテナを高く持って社内発信を強化したいです。身近に具体例があるとより制度を使いやすいと思うので、まだ制度利用者の少ないチームでも「〇〇さんの同期はこんな制度を使っていたよ!」など、工夫して伝えていきたいです。

 

熊谷さん:

私は復職した際の面談で、上司から複数の働き方の選択肢が当たり前に説明されたことがとても印象に残っています。「頑張った分はおのずと見えるものなので、働き方は自由に選んでください」と言っていただき、「期待に応えられるように頑張ろう」と心から思えました。

 

働きやすい環境は用意されているので、制度を活用しながら最大限のパフォーマンスを発揮していきたいです。

 

 

「働きやすい環境は用意されているから、その分仕事で貢献しよう」という気持ちが、社員に自然と生まれている森永乳業。仕事へのモチベーションが、全員とても高いことに驚かされました。自分の仕事に主体性を持って取り組む社員を増やすためには、逆説的ですが社員が働きやすい環境を整えることが近道とも言えそうです。

 

 

取材・文/秋元沙織 撮影/中野亜沙美