制度設計で時短からフルタイムに!時差問題も解決

幕内さん:

5月に人事部門がコロナ禍のテレワーク状況についてアンケートを取ったのですが、回答者604名中の6割から「コロナ前の働き方を変えたい」という声が挙がりました。テレワークだと通勤時間がない、会議室を取る必要がない、集中力が高まる、朝早くから仕事ができるので家族との時間が増える、会社に同じ時間に行く必要性を感じないなど、特に困らないという意見が多数を占めたのです。

 

その反応を受けて、コロナが当分終息しないと見越した制度設計を行い、今回の「Calbee New Workstyle」が導入されました。社員のライフが充実することで健康&Happyになれば生産性が上がる、地域交流が仕事にも反映されるなど、仕事の成果にもつながると考えています。

 

今回「単身赴任の解除」がかなり注目されていますが、これもあくまでもこの延長線上の話で「テレワークでも問題がなければ」というのが前提です。実際に単身赴任を解除した実例も出てきていますが、海外や地域への赴任など必要性が認められる場合は継続します。

 

──テレワークの導入と一言でいっても、制度はあるけれど実質形骸化している、決まった人だけが利用できるなど、利用状況は各社で大きく違っています。カルビーではどうだったのでしょうか?

 

幕内さん:

コロナ前では、感覚的には7、8割が出社していて、残りが外出や出張、テレワークといった形でしたね。ただ全員がテレワークに移行する以前でも、フルタイムの男性でも資料作りなどでテレワークを活用する風土は当初からありました。

 

──テレワークを常態化する下地はできていたんですね。

 

幕内さん:

そう思います。テレワークが標準化されてからは、意識的にコミュニケーションを取らないと距離が縮まらないので、マネジメントの観点からも一層交流を図るようにしています。

 

例えばTeamsやZoomを使って時間を決めてつなぎっぱなしにすることで、オンライン上でオフィスと同じような環境を作っている部署もあります。雑談だけを行うグループチャットを活用している部署もありますね。直接集まる場所を用意する手間がなくなったので、部署毎の勉強会も増えました。

 

テレワークを行う社員

 

──テレワークだと誰が何をしているかが見えにくいからこそ、あえてコミュニケーションを取ることを促す工夫は必要かも知れませんね。ところで、必ず全員が働くべき時間としてコアタイムを設ける会社も多いですが、今回カルビーではあえて撤廃していますよね。なぜですか?

 

幕内さん:

以前はコアタイムも設けていましたが、5~22時の間で効率性や生産性の向上に適した時間を自ら選択して働くというフルフレックスを導入しました。コアタイムがなくなると、働く社員側のメリットが大きいのです。

 

例えば私は小1と小4の子どもがいるのですが、通勤する必要がなくなったので時短勤務からフルタイム勤務に戻りました。カルビーでは小3まで時短勤務制度が利用できるのですが、予定よりも早くフルタイム勤務に戻った女性社員が15人ほどいます。思い切り働けるようになったからこそ、会社に貢献していこうという思いも生まれています。

 

──「テレワークで通勤時間がなくなり、フルタイム勤務ができるようになった」というママ社員の声は、最近よく聞かれるようになりました。会社が働く環境を整えることが、結果的に社員のやる気を高めることにもつながりますよね。では、勤務時間の管理はどうしているのでしょう?

 

幕内さん:

現在はパソコン上の勤怠システムで管理しています。用事がある際には「外出」ボタンを押すと私用の時間として扱われる仕組みなので、昼間に用事で中抜けした分を、夕方以降の手が空いたスキマ時間に充てることもできます。私は通勤が往復3時間かかるので、通勤していた頃は会社に始業時間ギリギリに着いて、帰りも「すみません、お先に失礼します!」と定時にダッシュして帰っていましたね…。

 

他にも、時差を気にしなくて良くなったこともメリットです。海外と連絡を取る際や、夜間シフトに入っている工場勤務者とやり取りをする際も、コアタイムを意識せずに該当時間だけ効率的に働くことができるようになりました。

 

>>NEXT 生産・物流現場で働く人への「感謝」が可視化