社内体制刷新に動く企業も増加

営業体制をガラッと変えた企業もあります。東芝グループは東京オリンピック時に予定していた休日を前倒すことにより年間カレンダーを見直し、4月18日から5月6日まで国内グループ全体で休業を決定しました。5月7日より営業は再開しましたが、出社必須の従業員については週休3日制やコア無しフレックスタイム制を取り入れるなど、接触機会を削減する勤務制度に注力していきます。

 

取引先も巻き込んでのリモートワークの必要性を訴えかけているのは、クラウドサービスを手掛けるfreeeです。リモートワーク導入時の課題の一因として自社のみでは完結しない業務が多数ある実情を踏まえて、「#取引先にもリモートワークを」アライアンスを立ち上げました。取引先との書面やり取りや対面商談を見直すことで、社会全体がリモートワークを行いやすい環境構築を呼びかけています。特設サイト上で公開されている6月27日時点でのアクション団体(賛同企業・団体)は82社。自社だけに留まらず取引先のリモートワークも可能とするアクションの設定を、SNSやプレスリリースで公表することを呼び掛けています。

 

また、今回を機に社内体制の見直しを図った企業も多く見られました。GMOインターネットグループでは、竹本直一IT担当大臣の発言もきっかけとなり、印鑑を完全廃止したことをTwitterや自社HP上で告知。現時点で契約当事者間の同意だけで電子化できないものを除いて、電子印鑑や電子契約に移行しています。

 

メルカリ・メルペイでも署名や電子署名への切り替え、PDF化した契約書の相互交換など、コロナ禍をきっかけに社内体制の効率化を図る施策を実施。大幅な外出制限が求められたことにより、効率化を図るためのスピーディーな対応が各社で見られました。

 

通勤の廃止、対面会議からオンライン会議への移行、在宅での勤務環境整備──私たちの生活はもちろんですが、企業にとっても今まで「当たり前」とされてきた常識は大きく変わってきています。

 

少しずつ、しかし確実に変わるつつある社会。変化を進化につなげていく状況下で、今回取り上げたような新たな施策が広がっていくのではないでしょうか。

 

【参照サイト】

株式会社東芝および東芝グループ会社の国内拠点の4月の営業日短縮について http://www.toshiba.co.jp/about/press/2020_04/pr_j1601.htm

東芝グループの国内拠点の営業再開と新型コロナウイルスの感染リスク軽減施策の徹底について http://www.toshiba.co.jp/about/press/2020_05/pr_j0701.htm

リモートワークの課題をみんなで解決しよう 「 #取引先にもリモートワークを 」アライアンスの発足 https://corp.freee.co.jp/news/remotework-10200.html

GMOインターネットグループ お客様手続きの印鑑を完全に廃止・契約は電子契約のみへ~印鑑による出社対応を不要に~ https://www.gmo.jp/news/article/6749/

メルカリ・メルペイ、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化を受け、電子署名による契約締結を推進 https://about.mercari.com/press/news/article/electronic_seal/

 

取材・文/秋元沙織