2019.08.29
先日、日本郵便株式会社が土曜配達を取りやめると発表。利用者からは「それは困るかも…」「今のご時世だから仕方ないよね」など、様々な声が相次ぎました。制度が変更されるのには、どのような背景があったのでしょうか?
「土曜日配達」が廃止される理由って?
日本郵便は「土曜日配達・翌日配達を中止」するため、「1週間に6日以上」と定められている“郵便物の配達頻度”を「週5日」にするよう要望。また投函から配達までの期限を、今までの「3日以内」から「4日以内」に延長したいと総務省へ申し出ていました。そして今年8月、総務省は同社の要求を了承。必要な法整備を行ったのち、早ければ来年にも両制度を廃止するとのこと。
この制度が実現した場合、翌日配達している地域では注意が必要です。木・金曜日に差し出した郵便物は、翌週月曜の配達に。およそ4日の間隔が空くため、余裕をもって投函しましょう。
どうして制度が変更されるのかというと、深刻な人手不足など社会環境の変化が理由の1つ。またメールやSNSといったツールが広まり、郵便サービスの重要度は年々低下しています。郵便の需要が減ったことも、今回の変更を後押ししたよう。ちなみに宅配便の「ゆうパック」は土曜配達を継続するので、荷物の受け取りには心配なさそうですね。
土曜日の配達が無くなると不便になる?
日本郵便の制度変更について、ネット上では意見が真っ二つに分かれていました。
制度変更に賛成する意見を見ていくと、「本当に大変だろうからこれでいいと思う。たしかに土曜日配達は助かってたけど、働き方改革も進んでるし仕方ない」「全国一律の値段で、安く手紙を届けてくれてますよね。もし土曜日が休みになっても文句はありません」「窓口の人は休んでるけど、配達の人だけずっと働いてて大変だなと心配してました。むしろ土日は休んでほしい…」などの声が。
郵便サービスの需要低下に共感する人も少なくありません。「普段送るメッセージだけじゃなくて、年末年始の挨拶もLINEやメールに変わってる。そんな中で土曜日に配達を続けるのはあまり意味がないのかも?」「今はメールもSNSもあるんだから、あまり手紙なんて出さないもんね。最後に手紙を出したのはいつだったかすら思い出せない」など、土曜日配達を廃止することに賛成する人は多いようです。
一方で、「こういったサービスが不便になるのは反対。土曜日も動いている会社は、事務作業に支障が出て大変なことになる!」「土曜日配達をやめたら、月曜日の配達量が増えるはず。休みが増えるのは良いと思うけど、逆に勤務自体はしんどくなりそう」といった心配も噴出していました。
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運送業界全体の「人手不足」が問題視されている…
サービスを変更した配送会社は日本郵便だけではありません。
例えばヤマト運輸株式会社は、2017年に「配達時間帯の指定枠」「再配達受付の締め切り時刻」を変更しました。公式ホームページによると「社員の法定休憩時間の適切な取得」「勤務終了から翌日の始業までの間に一定時間のインターバルを設ける制度の確立」など、社員が働きやすい環境を実現するためだそうです。
また福山通運株式会社も、昨年「働き方改革」などの影響で日曜日の営業体制を変更。同社が公開した資料では、「運送業界における人手不足問題」も問題点の1つとしてあげられています。このとき大きく変わった点は、日曜日の集荷・配達がなくなったこと。日本郵便が制度を変更する以前に、運送業界では働き方の見直しが行われていました。
働き方の変化やインターネットの普及など、大きくうねりを見せる運送業界。今後どのように変化していくのか見守りたいですね。
文/河井奈津