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三十路過ぎの私が憧れのジブリ弁当を作って一人ランチした衝撃…

仕事

2020.09.16

横峰沙弥香の連載バナー

 

お弁当が好きです。

 

映画『となりのトトロ』でさつきちゃんが作っていたあの素朴なお弁当を目にした幼いころから、私はお弁当に憧れを抱いてきました。あのめざしのお弁当、すっごく素朴だったけどとびきり美味しそうに見えた。ジブリ飯って、そんなところがありませんか?

 

お弁当箱はやっぱりアルミかな、昭和っぽい味わいが良い。さりとて曲げわっぱも捨てがたい。手入れが大変だとは聞くけれど、そこをあえて挑戦してみるのも素敵かも知れない。わっぱに入れたご飯は、程よく水分が吸収されて極上の味わいだと言うし…ああ味わってみたい!ほんのりヒノキの香りがうつった白ごはん!!

 

いつか大人になったら、自分のために手間をかけて作ったお弁当を持って仕事へでかけるんだ。社会に出ればきっと大変なこともたくさんあるのだろうけど、お昼休みにお弁当を広げる時間がわたしのささやかなたのしみ。丁寧に暮らしている満足感をかみしめながら、エネルギーをチャージして気持ちも豊かに午後も頑張るの…。

 

そんな人生はどこへやら、まったく手作り弁当とは縁のない職業につくこととなった私。

 

食事の時間もまばらで、お昼が食べられない日なんてのもザラ。あるときは早朝から、あるときは深夜まで働いて働いて、ひたすらに日々を忙しく生きていたら、気がつけば30を越えていたのでした。

 

3歳と5歳の子どもたちと暮らしている今となっては、お弁当を作らずに済んでいることがどれほどありがたいことかなんて、考えなくてもわかります。わかるんだけどね、叶わなかった憧れはただただ美しいもので、後悔ばかりが押し寄せるのですよ。「自分のためにお弁当作りたかったな…」って!

 

ささやかな後悔の念はざわざわとメンタルを侵食し、次第にイライラに変わって自分の人生まで否定してしまいかねない勢いになってきた。これはいけない。対策を練らなければ。

 

対策を練ると言っても、ここまできたらもうやりたかったことを叶えるしかないわけで、わたしは思い切って上等の曲げわっぱのお弁当箱を購入することにしました。自宅で仕事をしていても、お弁当作っておいてお昼に食べればいいんだもの、意味なんてなくてもいいのです。したいからする。

 

結論から言いますと、一度で満足しました。丁寧に作ったお弁当がもたらしてくれた満足感はたいへん大きかったです。

 

しかも、一度作業に入ってしまうとなかなか区切りをつけられず、お昼に自分で調理しなければならない面倒臭さから昼食をおざなりにしがちだった私に、お弁当ってぴったり。気持ちの切り替えにひと役買ってくれる上に、自宅にいるものですから、食べた後にサッと曲げわっぱの手入れもできてしまいます。

 

しかし…やっぱり面倒くさい。これが毎日の「タスク」になってしまうと、やっぱり負担に感じてしまうでしょう。なので気持ちに余裕のあるときにだけ、とびきり丁寧に作ったお弁当で自分を満足させる特別なイベントとして「たまに楽しむ」ことで落ち着きました。

 

ほんとうに丁寧に暮らすなんて無精者の私にはどだい無理な話。きっと私は余裕のない毎日の中で「丁寧に暮らしているっぽい感じ」を味わうことが好きなのです。

 

 

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文・イラスト/横峰沙弥香

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