お年玉袋への入れ方は!? お正月のマナー

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お正月の今さら聞けない大人のマナーを中心にお届けしている本特集。3回目は、子どもが楽しみにしているお年玉や干支について、和文研究家の三浦康子先生に伺いました。お年玉の金額で悩む人も多いと思いますが、そもそもお年玉にはどんな意味があるのでしょう。

 

<ひとつ前に戻る> 厄年の人は何をすればいい!? 災いに打ち勝つ厄除け・厄祓いの方法

 

Q:お年玉はもともと子どもと会う時間が少ないパパが

子どもに好かれるためにあげるものだった?

 

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お年玉は人気取りの手段ではなく、もともとは家長(家の主人)が家族に「年魂」を分け与えるものでした。現在はお年玉といえばお金が主流ですが、もともとはお餅をあげていました。お餅は年神様の「魂」を象徴するものと考えられていたためです。「魂」なんて聞くとちょっと引いてしまう人もいるかもしれませんが、「気力」や「生きる力」だと思ってください。

 

お年玉の始まりは諸説ありますが、江戸時代には庶民にも浸透していて、お餅だけでなく、品物やお金を渡していたようです。昭和30年代後半の高度経済成長期ごろからは都市部を中心にお金が主流になり、渡す相手も子どもだけになっていったといわれています。

 

 

Q:親にもお年玉をあげてもいい?

 

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お年玉は家長から家族へ、主人から使用人へ、師匠から弟子へという具合に、目上から目下へ渡すもの。ですから、目上の親に対しては、「御年賀」「御年始」などの名目を用います。

 

[ぽち袋への正しいお金の入れ方]

お年玉はぽち袋に入れて渡すのが基本です。せっかくなら正しく入れて渡しましょう。

 

1.紙幣の正しい折り方

紙幣は開いたときに表(肖像がある面)が見えるよう、表を内側にして、左→右の順に、福を包むよう緩やかに3つ折りにします。4つ折りは縁起が悪いのでできるだけ避けましょう。

 

2.お金の入れ方

ぽち袋を表に向け、1で折った紙幣を天地が逆さまにならないように入れます。

 

硬貨も表にして入れましょう。硬貨は絵柄・漢数字がある方が表、製造年が刻印されている方が裏です。

 

ちなみに、お年玉のお金を裸で渡していけません。急に渡すことになり、ぽち袋がない!という場合には、ティッシュペーパーでもいいので、手持ちの紙に包んで渡し、無礼をわびるとよいでしょう。

 

Q:お年玉は元日にあげるのがベスト?

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お年玉は、元旦に迎えた年神様からその年の魂(生きる力)を頂戴する意味があるので、早いほうがよいわけです。元旦以降は、年神様がいらっしゃる期間である松の内(1月7日まで。地域によっては1月15日まで)にあげましょう。

 

干支

2019年は亥(いのしし)年ですね。毎年年賀状を書く頃には話題になるこの干支ですが、そもそも干支とは何でしょうか。

Q:「干支」と「十二支」は同じ?

 

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「干支」とは「十干」と「十二支」を合わせた「十干十二支」の略です。

 

「十干」とは、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」のことをいいます。

 

「十二支」はおなじみの「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」のことです。

 

これを順に組み合わせたものが干支です。干支には60の組み合わせがあるため、一巡すると還暦になります。

 

現代では十干が使われることが少なくなったことから、干支といえば十二支をさすのが一般的になっています。

 

 

Q:十二支の順番は動物たちが競争してゴールした順番?

 

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十二支はなぜネズミから始まるのでしょうか。これには諸説ありますが、有名なのは、競争で1番最初にゴールしたのがネズミだったから、という民話です。昔から語り継がれてきたこの民話をご紹介します。

 

昔々、神様が動物たちに「元日の朝、私のところに出かけてきなさい。最初に到着したものから12番目のものまでを1年交代でその年の大将にしてあげます」という御触れを出しました。

 

元日となり、まずは足の遅いウシが誰よりも早く夜明け前に出発しました。牛小屋の天井で見ていたネズミはこっそりウシの背中に飛び乗りました。ウシが神様の家に着いたときにはまだ誰も来ておらず、門も閉まったままでした。やがて朝がきて門が開いた途端、ウシの背中からネズミが飛び出し、1番になりました。ウシは残念ながら2番となり、その後にトラ、ウサギ…と続いて到着したのです。十二支はこの到着順といわれています。

 

ちなみに御触れを聞き逃したネコはネズミに1日遅れの日付を教わっていたため、番外となり、それ以来ネズミを恨んで追い回すようになったそうです。

 

どうしてお雑煮を食べるの?

お雑煮を食べなきゃ正月は始まらない!という人は多いでしょう。日本では昔からお正月にはお雑煮が食べられてきましたが、それにはちゃんと理由がありました。

 

Q:お雑煮は作りすぎた餅を消費するための料理?

 

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毎年お餅を買いすぎたり作りすぎてしまって食べきれないから、お正月は家族みんなでお雑煮を毎日のように食べて消費する、という家庭もあるかもしれません。しかし、本来お雑煮は年神様から分けてもらった「年魂」=「お餅」を食べるための料理なのです。

 

お餅を食べて魂を体に取り込むなんてなかなかすごい発想ですが、「また雑煮?」などと言わずに年神様に感謝しながらおいしくいただきましょう。

 

 

Q:地方によってお雑煮の味は違う?

 

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お雑煮は地域や家によって味も具材も違います。出身地が違う者同士が結婚すると、その家庭のお雑煮をどちらの味にするのかモメるという話もよく聞きます。

 

関東であれば角餅を焼いて醤油ベースのすまし汁で食べるのが一般的ですが、関西は丸餅を焼かずに味噌仕立てで食べます。また、香川ではあん入りの餅を白味噌仕立てで食べ、岩手県の宮古地方ではお餅をくるみだれに付けて食べるなど、その土地ならではのお雑煮があります。ほかにもいろいろなお雑煮がありますので、まずは我が家のお雑煮をいただき、後日、違う味付けを楽しんでみてもいいですね。

 

 

どうして七草粥を食べるの?

お正月に七草粥を食べる人は多いでしょう。スーパーなどでも七草がセットになったパックが並び、手軽に作れるようになっています。どうして七草粥が食べられるようになったのでしょう。

 

Q:七草粥はお正月料理?

 

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七草粥はお正月料理ではなく「人日の節句」の行事食です。「人日の節句」は五節句のひとつ。五節句とは江戸時代に制定された式日で、1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽をさします。

 

人日とは“人の日”という意味で、元日から順番に鶏、狗(犬)、猪、羊、牛、馬、そして7日に人を占い、7種類の若菜を入れた汁物を食べて無病息災や立身出世を願うという中国の風習に由来します。

 

 

Q:七草粥には残ったお餅など、七草以外を入れてもいいの?

 

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基本的に、七草粥は春の七草を入れて作りますが、春の七草でなければいけないというわけではありません。春の七草が手に入らなければ、冷蔵庫にある野菜でもOKですし、地方によってはお餅や野菜以外の具を入れて7種類とするところもあります。

 

できるだけ新鮮な若葉を使うことで、自然界から新しい生命をいただくという本来のコンセプトにもマッチしますが、気楽に考えて七草粥を楽しみましょう。

 

【春の七草】

①芹(せり)…水辺の山菜。香りがよく、食欲増進を助ける

②薺(なずな)…別称「ペンペン草」。江戸時代にはポピュラーな食材

③御形(ごぎょう)…別称「母子草」。草餅の元祖。風邪予防や解熱効果が期待できる

④繁縷(はこべら)…ビタミンAが豊富で、腹痛の薬にもなった

⑤仏の座(ほとけのざ)…別称「タビラコ」。見た目がタンポポに似ていて、食物繊維が豊富

⑥菘(すずな)…蕪のこと。ビタミンが豊富

⑦蘿蔔(すずしろ)…大根のこと。消化を助け、風邪予防も期待できる

 

お正月で疲れた胃腸をいたわり、不足しがちな青菜の栄養を補給するという効用もある七草粥。食べる前にお子さんと一緒に七草を広げて名前当てクイズをしてみませんか?覚え方のコツは、5・7・5・7・7のリズムに合わせて「せり・なずな〜ごぎょう・はこべら〜ほとけのざ〜すずな・すずしろ〜春の七草♪」です。

 

次回は、お正月に子どもと一緒に遊びたい「日本の伝統的なお正月の遊び」をご紹介します。

 

監修プロフィール/三浦康子(みうらやすこ)


和文化研究家、ライフコーディネーター。古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、WEB、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても知られている。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』ほか多数。http://wa-bunka.com/

取材・文/田川志乃 イラスト/クリハラタカシ

田川志乃

フリーライター。1児のママ。食や子育て、身近な生活に関する記事を中心に執筆中。