家を購入するときに考えたい「出口戦略」って?

上記でお話したように、今後、郊外の一戸建を購入する家庭は増加するかもしれません。都心部の物件に比べて、購入金額は安いですから、住宅ローンの負担も抑えることができます。

 

コロナの収束が見えない中では、高額な住宅ローンを組むのは、家計が破綻する可能性もあるので、手堅いプランを組みたいというのも頷けます。

 

ただ、注意が必要なのは、コロナが収束した場合、現在と同じ頻度でリモートワークが続けられるのかわかりません。また、転職した場合にリモートワークできるかは未知数。さらに、子どもが独立した場合、広い家ほどメンテナンスが大変になります。病気になった場合にも都心部の方が病院に通いやすいでしょう。

 

長い人生の間には様々な転機が訪れます。転機が訪れたときに、人に「貸す」「売却する」選択をする可能性も大いにあります。賃貸がつきやすく、高く売れる物件というと、都心部の資産価値の高い物件になる傾向はこれからもしばらく続くことが予想されます。

 

ちなみに、一戸建ては、20年を超えると建物の価値がゼロになると査定される傾向があるため、どれだけ価格を下げても買い手がつかない駅から遠い物件などでは、不良債権化する可能性もあります。

 

また、一戸建の場合、部屋数や床面積が広いので、水道光熱費がかさむ傾向にあるようです。日本生活協同組合連合会が2019年9月に発表した「電気・ガス料金調査」報告によると、一戸建て住宅の1ヶ月の電気料金の平均は8,546円、これに対して、マンションなどの集合住宅の電気料金の平均は6,477円。一戸建の方が2,000円程度高いという結果になっています。

 

実際に住んでみて気がつくことも多いと思いますが、メリット・デメリットをよく吟味して選択する必要はあるでしょう。

 

購入するときに「貸す」「売却する」ことは考えにくいものですが、これらの可能性も踏まえて、目先のことだけにとらわれず、将来に渡る自分たちのライフプランもしっかりと考えて物件選びをすることが大切ですね。

 

文/高山一恵