2020.07.22
結婚、出産、子育て、住宅購入といったライフイベントが集中する30代。何かとお金が必要になり、特に教育や住宅にかかる費用に関してはいつも話題になります。そんな時期を過ごす30代のお金事情は、どうなっているのでしょうか。30代の平均貯蓄額・収入額のデータを参考に、同世代のお金事情を紹介します。
みんなの平均貯蓄・平均収入はいくら?
「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」によると、30代の平均貯蓄は529万円です。
30代の平均貯蓄
※2人以上の世帯・金融資産を保有していない世帯を含む
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」より作成
「そんなに!」と驚かれる方もいるかもしれませんが、「平均」は一部のお金持ちが金額を引き上げてしまう傾向があります。
そこで、貯蓄の多い順番に並んだときにちょうど真ん中にくる人の貯蓄額(中央値)を見てみると、240万円となっています。こちらのほうがまだ、実感に近いのではないでしょうか。
また、気になるのはグラフの一番左側、「金融資産非保有」の割合。これは30代の15.8%がまったく貯蓄がない状態を示しています。
貯蓄がなくても、毎月の収入で今の生活がまかなえるのかもしれません。しかし、病気やケガ、リストラなど万が一の事態が起こればすぐに生活は苦しくなります。そのためには、まずは生活費の半年分は貯蓄することをおすすめします。
それから、30代の平均収入は国税庁の「民間給与実態統計調査」からわかります。30〜34歳、35〜39歳の5年間の平均年収は以下のようになっています。
30代の平均収入(年収)
国税庁「民間給与実態統計調査(平成30年分調査)」より作成
男性は30〜34歳469.5万円、35歳〜39歳527.6万円。女性は30〜34歳314.7万円、35〜39歳313.8万円となっています。なお、男女通じての平均は30代前半が410.1万円、30代後半が447.8万円です。
男性は50代まで右肩上がりに年収が増えているのに対し、女性は20代後半以降ほぼ横ばいになっていることがわかります。
また、30歳代の世帯は、平均して年間手取り収入の11%を貯蓄に回しています。これは、世帯の手取り年収が500万円だったとして、毎月約4万6000円、年間55万円を貯蓄に回せている計算になります。
- 年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)
※年代は世帯主の年齢
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」より作成
こうしてみると、けっこう堅実に貯蓄をしていると感じられます。ただ、これからも順調に貯蓄を続けられるかは未知数です。
カンムの調査によると、新型コロナウイルスの感染症に伴い、基本給が減ったと答えた30代は38%。残業代やボーナスも減っています。
- 新型コロナウイルスが給料に与えた影響
カンム「アフターコロナの家計・資産防衛 意識調査」
20代・30代といった若年層ほど基本給が減ったと回答しています。また、ステイホームやリモートワーク、営業自粛などの影響でしょうか、残業代やボーナスなども減っているようです。30代に限らず、今後コロナ禍が家計に少なからず影響を与えることは間違いありません。
みんなの支出はどうなっている?
30代では結婚や子どもの誕生、住宅購入など、さまざまなライフイベントが起こり、20代の頃よりも生活にかかる費用が増えます。
総務省「家計調査報告」によると、30代の消費支出の平均額(2人以上の世帯)は28万6017円。20代までの平均は22万320円ですから、それに比べると格段に増えています。
とはいえ、40代の平均は33万2539円、50代の平均は35万4252円と、ここからさらに増加していきます。それを考えると、30代のうちに収入を増やすこと、支出を減らして貯蓄を増やすことの大切さがよくわかるでしょう。
さらに詳しく、30代の消費支出の内訳を確認してみると、次のようになっています。
- 30代の消費支出の平均額(2人以上の世帯)
総務省「家計調査報告」(2019年)「世帯主の年齢階級別」より作成
毎月の手取りの収入からこの金額を引いた金額が、貯蓄できる金額です。とくに30代の世帯では、子どもが生まれる時期ですので、子どもの洋服や紙おむつ、幼稚園・保育園の費用などがかかる傾向がみられます。
なお、住居費は少ないと思われる方が多いでしょう。ここには住宅購入や住宅ローン返済に関わる費用が含まれないこと、持ち家(実家暮らし)などで住居費がかからない人もいることがその要因です。結婚し、住宅ローンを借りてマイホームを手に入れたとなれば、これらの費用とは別に毎月の返済も発生します。
みなさんの家計と見比べてみて、いかがでしょうか。基本的に、50代まではこれらの支出金額も増えていく傾向にあります。もし飛び抜けて多いという費目があったら、その原因を見直しましょう。
また、こうした統計に表れにくい支出にも注目。その代表はサブスク(サブスクリプション)でしょう。サブスクは定額でモノやサービスが使い放題になる仕組み。動画や音楽の視聴し放題、食べ放題や飲み放題、洋服やバッグのレンタルし放題など、サービスは多岐にわたります。
消費者庁の調査では、ひと月あたりのサブスクの支払金額が、ほとんどの世代で約半数が1000円以下となっています。
- ひと月あたりのサブスク支払金額
消費者庁・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「サブスクリプション・サービスの 動向整理」
しかし、中には5000円や1万円と多くの金額をかけている方もいます。同調査によると、30代の利用者の23.1%が3つ以上のサービスを利用しているとのこと。なにより、サブスクの市場自体がこれからもさらに広がることで、利用者も利用金額もますます増えていくでしょう。
もちろん、定額制のメリットを生かして、支出が抑えられるサブスクを使う分には問題ありません。しかし、使わなくなったサブスクはムダな固定費でしかありません。利用状況を確認して、お得や便利さを感じないなら、早いうちに解約するべきでしょう。
以上が、30代の平均貯蓄と平均収入、さらに支出の動向です。平均はあくまで平均ですが、今回のデータを参考に、自分にどのくらいの収入・支出があって、どれだけ貯めておくべきなのか、そしてそのためにどうすればいいのか、ひとつずつ考えて実践してくださいね。
文/畠山憲一