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プライバシーは皆無!? 地方在住者が語る「私の街の生きづらさ」

ライフスタイル

2021.06.08

4月オピニオンスライダー

公共交通の利便性やネット環境の向上によって、ひと昔前と比べると、都会と地方での格差は埋まりつつあると言われています。コロナ禍でウェビナーの開催やテレワークの浸透など働き方が変わったこともあり、地方移住という言葉も聞かれるようになりました。

 

では、実際に地方で暮らし続ける人はどう感じているのでしょうか?今回は地方に暮らす3人のCHANTO読者を招いて、オンライン座談会で今の暮らしについての思いを語ってもらいました。

「子どもは?」「あそこの家からコロナが出た…」田舎は噂ばかり!

── 皆さん、ずっと地方在住者でいらっしゃいますね。まずは自己紹介を兼ねて、現在お住まいの地方のエピソードを教えていただけますか?

 

佐川さん:

四国の徳島県にずっと住んでいます。交通機関は電車ではなく汽車で、最寄り駅まで車で15分かかるので一人一台、車を持っているのが当たり前の地域です。土地が広いのでご近所といってもお隣さんが近いわけではなく、義父母と棟を分けての三世帯暮らしをしています。

読者座談会・佐川さん

佐川さん/徳島県出身、団体職員。夫、14歳男女双子、義父母との三世帯同居。結婚・出産後の働き方に家族間で意見が衝突するも、現在はフルタイム勤務。

 

和久井さん:

生まれも育ちも山形県です。「みんな知り合い」なので悪いことはできないし、私生活にも悪気なく干渉してくる感じですね…。私は子どもがいないのですが、近所のおばさんに「子どもまだ?できないの?」とあまりにもストレートに聞かれたときは、ビックリして家に帰って泣いてしまいました。

和久井恵さん(仮名)/山形県出身、自営業。夫との二人暮らし。ご近所付き合いのコツは「親しくなりすぎず、挨拶や野菜を分けてもらう程度の関係性を維持すること」。

 

太田さん:

私も和久井さんと似ていて、上の女の子を二人出産しても「男の子は(産まないの)?」という圧力が強く、体力的にもギリギリでしたが子どもを三人産みました。結婚時に「女が仕事に出るなんてみっともない」と言われたことで一度専業主婦にもなったのですが、今は働いています。

 

太田博美さん(仮名)/佐賀県出身、自営業。夫、8歳長女、6歳次女、3歳長男との五人暮らし。夫との結婚で義父母宅への同居話が持ち上がったため、自身が現在の家族で住むマンションを購入して世帯主となる。

 

── 地方は都会と比べると地域交流やコミュニケーションが密だとよく言われますが、皆さんの地域ではいかがですか?

 

和久井さん:

以前住んでいたところでは町内会の結束が強くて、なかでも「会長夫人の言うことは絶対!」でした。10~20人規模の集まりで、会合では女性が食事の準備をするもの、でもルールが決まっているので勝手にやると怒られる、とストレスでしたね…。今、住んでいる場所でも町内会はあるのですが、年配の方が中心となっていて負担は少ないです。

表面上の「付き合い方」がとっても大事!

── 地方では「人と人との距離が近い」ですよね。地域だけでなく、年代も影響しているのかも知れませんが…。

 

佐川さん:

「皆のことをこれだけ知っているんだぞ!」と優越感があるのか、噂話が広まるのは早いですね。私が双子を出産したときにはみんな名前まで知っているし、お祝いをもらっていなくても近所の人に内祝いを配るのは当たり前でした。気分転換に家から5分のコンビニに行こうと思っても、道中で捕まってお菓子や野菜をもらい世間話をされるので1時間かかります。家に帰る前に溶けてしまうので、アイスは買えません(笑)

 

和久井さん:

噂話は本当に早いですね!県で初めて出たコロナ陽性者も、隣町の女の子だとすぐに特定されていました。いづらくなったのか、いつの間にか引っ越したそうで…あれは何なんですかね?

 

太田さん:

私の周囲でも、コロナ陽性者が特定されて大学を辞めて引っ越したと聞きました。私は仕事で県外に行く機会もあるのですが、そんなことを言ったら生きていけません(笑)。本音と建て前を上手く使い分けるのが大事だと思います。

 

佐川さん:

私も同居している義両親とは、お互いに近所の人に「いかに良い舅姑か/嫁か」をアピールしています。私は朝スーパーに寄ったり宅配を活用して夕方には真っすぐ帰宅してごはんを作って、姑は「嫁が毎日ご飯を作ってくれるのよ~」と話す、といった感じです。同居ならではの窮屈なことはありますが、家賃や光熱費が浮いた分は教育資金や車代に充てられるので、小さな衝突はなるべく起こらないようにしてメリットを享受できるようにしています。

「女は〇〇するべき」周囲の刷り込みに自分も縛られる

── コロナによって自由な働き方や生き方が浸透してきましたが、皆さんの体感ではどうでしょうか。仕事面や暮らしでの変化を感じることはありますか?

 

和久井さん:

今は亡き姑は「女は家にいるべき」という考え方で、「暗い家に息子が帰るのはかわいそう」とはっきり言われました。Facebookにそのことを投稿したら、同級生から「昭和か!」と応援メッセージをもらいましたが(笑)。実の父にも、「女が大学に入ってどうする」と言われましたね。進学校だったのですが「そうだな…」と思い、進学の意欲を失って高校卒業後は就職しました。

 

── 身近な人にそう言われると「そういうものなんだ」と思ってしまいそうですね…周囲でもそうでしたか?

 

和久井さん:

進学するにしても、地元の大学にしなさいと言われた人は多いです。フリーライターになった先輩は、東京に行くとき親に殴られるほど反対されたそうです。

身近なところに田園が風景が広がっているという和久井さん。その土地ならではの「当たり前」に戸惑うことも。

 

佐川さん:

和久井さんのように、徳島から出て行ってまで何になりたいとは思わなかったですね。行ける範囲での選択肢を探すというか…「ここ(徳島)」にいるのは、私の中で当たり前でした。でも成長と共に変わってきた印象はあります。「結婚したら仕事を辞めてすぐに子どもを作るべき」という考え方から「それだけじゃなく仕事もしたい」と思い出してからは、自分の時間を有意義に使うことを意識するようになりました。

豊かな自然のなかで育まれたバケツいっぱいのそら豆。美味しい食べ物も安く手に入れられるのは地方の魅力の一つと語る佐川さん。

 

太田さん:

私生活についての干渉はすごいです。結婚するとき、義両親に「正社員の仕事を辞めなさい」と言われても、夫もこの土地で生まれ育った人なので「そういうものだ」と理解が得られず…。職場の人にも「(結婚したら)これから妊娠するかもだし、部署異動する?辞める?」と聞かれましたし、再就職のときも必ず子どもはどこに預けるのか聞かれました。女性の社会進出が応援されているなんてとても思えません。

 

でも私自身も「さあ働くぞ!」というより「子どもは私が見なきゃよね」と思ってしまうんですよね…。守りに入りながら働き方を探している気がします。

教育や世代が入れ替われば、地方はもっと住みやすくなる!

── 皆さんは今も地方在住とのことで、現在の地域に住むメリットも感じられていると思います。最後に「どこが変われば地方はもっと住みやすくなる」と思いますか?

 

太田さん:

地方って、子どもが小さい内はメリットが多いと思うんです。自然環境も豊かだし、家は広くて庭も持てる。スーパーで買わずに、新鮮で旬な食べ物を周囲の人からいただくことができます。ただ子どもが大きくなるにつれて、教育のことを考えると外の世界に出なきゃいけないのかなと。区域に学校が一つしかないなんてこともあるので、教育の質が上がってくれば、佐賀でもずっと住めると思います。オンラインで習い事を受けられるなどコロナ禍で変化も出てきているので、今後に期待です!

近所の川が子どもたちの遊び場になっているという太田さん。幼稚園や小学校の帰りにこの大自然の中で遊べるというのは、地方ならでは。

和久井さん:

田舎の住んでいる人の意識が変われば、本当に住みやすくなると思います。野菜や水は本当に美味しいですし。あとはプライバシーへの介入がなくなればと思うのですが、難しいですね。自分が変わるしかないのかなと最近は思います。

 

佐川さん:

月日の流れる速度が都会と地方では違うんじゃないかと思います。横浜から移住してきた友人がいるのですが、アパートから現在の家を見つけるまで5年かかったんです。5年経っても「この間来た人」という転入者扱いで、なかなか紹介してもらえなかったそうで…。

 

でもそういった考え方も、あと10、20年もしたら変わってくると思うので、自分はそう思わないように節度ある考え方を心掛けていきたいです。長年住み続けているので地域への愛着もありますし、良い環境にしていけたらと思います。

 

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長年住む人が多い地方では、私たち若い世代には馴染まないしきたりや暗黙のルールがあることも。一方で食べ物や住まいの豊かさ、自然環境など、地方ならではの魅力もたくさんあります。3人が話すように自分によって程良い付き合い方を見つけると、もっと生きやすくなると言えそうです。
取材・文/秋元沙織

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