2021.01.20
華やかな芸能界から子育て中心の日々に変わり、生活が一変したという香椎由宇さん。初めての子育てに奮闘しながら、どのように仕事や日々の生活を楽しんでいるのでしょうか。香椎由宇さんの今を切り取るシリーズ最終回です。
人に頼ることが出来なかった
——出産を機に仕事をセーブされましたが、ドラマやCM撮影をはじめ、華やかな世界から子育て中心の生活になって気づいたことはありますか?
香椎さん:
仕事が好きだったんだなって思いました。子どもが生まれる前は、ありがたいことにたくさんお仕事を頂いていて、“疲れた”、“休みたい”、“結構しんどい”…と思う時期も正直ありました。しかし、その後、お休み期間が長くなっていくと、ないものねだりでしょうか。あれだけきついと思っていたはずの仕事が、やっぱり好きだったんだと再確認しましたね。
——元々しばらくお休みしようという計画はあったのですか。
香椎さん:
特に決めていなくて、お仕事のお話を頂けたらその都度相談しましょう、という流れだったんです。しかし、出産直後の3月11日に、東日本大震災が起きてしばらく地方に住んでいましたし、東京に戻ってからもなんだかんだとタイミングが合わず。それに、子どもは誰に預けるとか、時間はどうするんだとか、自分自身の頭が固くなっていて。当時は“誰かに頼る”という「選択肢」があまりなかったんですよね。
——今は誰かに頼ったりすることは…?
香椎さん:
今はすぐします(笑)。“助けて!”って、すぐ手を上げますね。家族でも仕事関係の方でも、頼れる人は頼っています。でも、そんな風に思えるようになったのも最近のこと。今までは保育園に入れるのはかわいそうとか、知らない人に預けるのはどうなのかとか、色々世間の声が耳に入ることもあり、しまいには“あの人はちゃんと子育てしていないのでは?”って、言われたら…と、勝手に想像してしまうこともあって。
——つい自分一人で頑張りすぎてしまう人や、頼り方が分からないといった方は多いですが、香椎さんはどのようにして人に頼ってもいいと思えたのでしょうか。
香椎さん:
やっぱり頑張りすぎてキャパオーバーしていたし、色々なことに我慢をするのも辛くなってきたんですよね。本当は映画も見たいし、好きな時間にジムにも行きたい。散歩もしたいし、小1時間、いえ、30分でもいいから一人になりたいと。あれがしたい、これがしたいと思う気持ちが強くなり、いよいよ親や家族にお願いして、見てもらうようになりました。
しかし、いざ頼ってみたら、親も「言ってくれれば良かったのに」と助けてくれましたし、肩の力が抜けると同時に、徐々に物事がうまく回るようになったんですよ。もし、あのまま人に頼らず一人で踏ん張っていたら、どんどんどんどん、“あれもできない”、“これもできない”、なんでこんなに我慢しないといけないの…!と、負のエネルギーばかり強くなっていたでしょうね。
人に頼ることで精神的に余裕が出て、その結果、自分に対しても相手に対しても穏やかになれる。周りにとっても幸せなことだと思うんです。