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いじめ体験の中川翔子さんが立ち直った「褒める力」

ライフスタイル

2019.12.22

中学時代、いじめを経験した中川翔子さん。前編では、中川さんのいじめ体験や親の対応についてお伝えしました。今回は、心に深い傷を負った中川さんがどのように立ち直ったのか、お伝えします。

あの頃の自分に「好きなことで防御してて」

──中学卒業後は、中高一貫の高校には進まず、別の通信制の高校に進まれたそうですが、高校生活はいかがでしたか? 

 

中川さん:

日によって行けないこともあったんですけど、席を自由に選べたりとか風通しがいい学校で、だんだんと話せる友達もできて。そのうち、「自分に合う道っていうのがあるのかもしれない」って思えるようになりました。高校は卒業式もちゃんと出ることができましたよ。 

 

今、大人になって振り返ってみると、あの頃はなんであんなに傷つきやすかったのかなって思うんですけど、思春期の衝動ってあるんですよね。当時、大人の人から「卒業しちゃえば大丈夫だよ、私もいじめられてたけどね」みたいに言われたことがありました。良かれと思って言ってくれてるのに、「うるさいな、あんたには関係ないじゃん。私は明日も学校に行かなきゃいけないんだよ」って思ったのを覚えていて。そういう言葉で勝手に傷ついちゃってた。 

 

大人になったら本当に世界が広がって、自由もあるし、自分にご褒美とかもできるから、嫌なこととか理不尽なことが山積みに起きてもコントロールできるようになりました。でも、子どもは大人みたいに何気なくカフェに寄るとかすらできないから、ストレスを発散する方法って限られますよね。そうすると学校と家だけが世界になってしまって、どこにも居場所がないってなった時に心が追い詰められちゃうんですよね。 

 

──子どもが追い詰められて、衝動で命を絶ってしまうのは本当に悲しいです。中川さんはどのくらいで立ち直ることができたんですか? 

中川さん:

20代前半ぐらいまでは当時言われたこととかをすごい引きずっていて。あの頃が悔しいし、なかったことにしたいし、「黒歴史だ!」ってすごい思っていて。

 

本当にあの頃はしんどくて死にたくて。でもだからこそ1日ずつ生きるために、その時間を過ごすために、ネットをやったり絵を描いたり本を読んだり。今だから言えるけど、それがすべて未来への糧になってた。そう思うと、「死なないで生き延びてくれてありがとう。そしてそのまま好きなことで防御しててほしい」ってあの頃の自分に言いたいなって思います。 

「死にたい自分」を変えた言葉の力 

──今は中川さんの前向きな言葉で励まされる人も多いと思いますが、どうやって気持ちを切り替えることができたんですか? 

 

中川さん:

それは、「死にたい」って思った時に始めたブログですね。私は学校の文集にもほとんど顔が載らなかったから、せめて生きた証を残してから死にたいと思って。最初は呪いの言葉を書こうと思って始めたのですが、書こうとすると嫌だったこととか反芻しちゃってるし、書き残した時に万が一誰かが見たら「暗っ!」ってなるから、どうせ死ぬんだから好きだったことを残してみようって明るい遺書モードにしてみたんです。好きなことややりたいことを書くってマイルールを決めて。

 

それで、コスプレした写真をアップしてみたり、絵を描くのが好きだとか、漫画やゲームが好きって学校では言えなかったことを全部書いて。そしたら、「私もそうでした」「私も好きです」ってものすごく共感の声が届くようになったんです。その時、「あ、なんだ、言えなかったことをここでは言ってもいいんだ」ってなって。何十回も書いているうちにだんだん気持ちも楽しい言葉に引っ張られて明るくなれて。 だから言霊って絶対あるなって思うんです。

 

先日、中学生に会ったのですが、学校ではスマホ禁止だけどみんなインスタグラムをやっていて、素晴らしいと思いました。好きなものや何かを褒めるというルールで使うアカウントが1個あるだけで、そこが夢の蓄積の場所となる気がしますね。エネルギーがだんだん溜まっていくような。 

 

例えば、もう限界で死にたいってなった時に、たまたま猫が通り掛かって、「あー抱っこしようかな」って思うだけで踏み止まれたりしたりすることがある。だから、ほんのりでも好きだな、いいなって思えることがたくさん見つかるといいなと思います。 

 

──ポジティブな言葉をブログに綴るって、すごくいい方法ですね。でもネットは使い方次第で悪にもなる可能性がありますよね。だからこそ、親はスマホなどを持たせることに慎重になってしまいます。 

中川さん:

頭ごなしに「ネットはダメ」って言うんじゃなくて、親や先生がネットの良い使い方を早めに教えてあげたらいんじゃないかなと思いますね。ネットで人をたたいたり攻撃したりする大人たちがいるけど、なんか情けないなって思っちゃいますよね。それだといじめの精神と変わらないじゃんって。 

 

私の場合、めちゃめちゃ美味しいものを食べて感動したら、「美味しい」だけじゃなくてあらゆる語彙力で褒めたくなっちゃうんですよね。そういう風に、好きな映画でも本でもゲームでも、自分なりに褒められたら楽しい気がする。 

 

ネットに愚痴を書いたり、闇アカとかしてると結局自爆したりするし、言霊って残るから、それが自分にブーメランのように返ってくると思うと嫌ですよね。私も隣れる人としての言葉をこれからも探して行けたらいいなと思います。 

中川翔子さんのいじめ体験を綴った著書『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)

 

PROFILE 中川翔子(なかがわ・しょうこ)

1985年5月5日、東京都生まれ。2002年、ミス週刊少年マガジンに選ばれ芸能界デビュー。歌手・タレント・声優・女優・イラストレーターなど、活動は多岐にわたる。音楽活動では12/4(水)に約5年ぶりとなるニューアルバム「RGB 〜True Color〜」 をリリース。12/23(月)に5年目のディナーショー「ありがとうの笑顔~5th anniversary Ballad with Strings~」を開催。また書籍『死ぬんじゃねーぞ!! いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)を出版するなど、いじめ問題に取り組んでいる。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会のマスコット審査委員や、2025年開催万博誘致スペシャルサポーターなど、文化人としても活動。

 

『「死ぬんじゃーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋刊)

中川翔子さんがいじめられて不登校になるまでの実体験と、自殺したい衝動に駆られた時に踏みとどまることができた理由、そして大人になった現在、いじめで苦しんでいる人に伝えたいメッセージを言葉と漫画で綴る。今の時代のいじめについて、中川さん自身がインタビューした記事も掲載されており、親としても参考にしたい一冊。定価:本体1,200円+税

 

取材・文/田川志乃 撮影/masacova!  ヘアメイク/灯(ROOSTER) スタイリスト/尾村綾

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