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ママが自分を肯定できる「メタ認知」の力

子育て

2019.11.27

2022.01.20

最近耳にすることが多い「メタ認知」。

 

「メタ認知とは?より良く生きるために自分を客観視する方法」では、メタ認知が学習だけでなく、社会生活、感情のマネジメントなど様々なところで大きな役割を担っているということが分かってきました。

 

では、どうやってメタ認知を伸ばせばいいのでしょうか。大人になってからでも身につけられるのでしょうか。

 

今回も引き続き法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生に、メタ認知の伸ばし方など具体的な疑問についてお話を聞いていきます! 

まずは、自分を振り返って 

メタ認知が基礎的な力として重要だということが分かってきましたが、メタ認知はいつごろから育てられるものなのでしょうか?

 

渡辺先生

幼稚園や小学校低学年あたりから少しずつ育てたい能力ですが、「メタ認知的な思考を持ってきたな」と推測できるような言動をするのは、個人差はありますが8-9歳くらいからが多いですね。

 

例えば運動会について「楽しみだけど不安だな」などと言い始める、というのも、自分の気持ちを少し俯瞰して感想を述べていると考えると、メタ認知的な思考と言えるでしょう。

 

単純に「運動会は楽しい」とステレオタイプ的に感じるのではなく、自分の状態を詳しく認識してみると、「競技などでうまくできるか不安な気持ち」も自分の心の中にあると感じているわけですね。 

 

小さなころから子どものメタ認知を伸ばすために親ができることはあるのでしょうか?

 

渡辺先生

子どもの問題は、親の問題であることも多いです。子供は日頃から親をモデルとして観察学習しているとも考えられますから、まず、親自身がメタ認知ができているかどうか振り返ってみましょう。

 

自分で自分自身の状態に見て見ぬふりをしていないか?と考えてみてほしいです。

 

考えるということをせずに感情に任せていると、情動感染といってネガティブな気持ちにみんなが影響されてしまいます。

  

親が急にキレたりしていたら、それでいいんだと子どもは思ってしまいますもんね…。

どうすれば、大人になってからもメタ認知力を高めることができるんでしょうか?

 

渡辺先生

私が講座などでお母さんたちに勧めているのは問題解決の3段階の方法です。

 

例えば子育て中、イライラしてしまう人も多いですよね。まずその原因は何か考えて、思いつくことを書き出してみる。たくさん出てくると思います。「自分の時間がない」「子供がいうこと聞かない」などです。

 

次に、その中から解決できそうなものを選んで、対応できる方法をできるだけ考えてみます。

「自分の時間が全くない」ということだったら、「寝る前に必ず10分は自分の時間をつくる」「カフェに行く」などですね。最後に、その中でできそう、やれそうなものを1週間やってみるというわけです。改善されなければ、また違う方法を試してみます。

 

自分のイライラの原因を考えて、それを解決する行動を選んでやってみる、ということで、まさにメタ認知力を鍛える練習になると思います。

  

なるほど!自分のモヤモヤした気持ちを見て見ぬふりをしてイライラするのではなく、分析してみるということですね。これは実践しやすそうです。

では、小さなころから子どもにしてあげられることはありますか?

 

渡辺先生

そうですね。親や周りの大人が日常生活の中で、メタ認知につながる関わり方をしてやれるといいですね。個人的には絵本の読み聞かせなどは良い影響があると考えています。

 

物語を読むと自分ではなく登場人物のことを考えますから、登場する人や動物の考え方が、どのような行動や結果に結びつくかを客観的に捉えることができます。

 

そして、それを自分の生活にも関連づけられるよう親が言葉かけをしてやるといいと思います。「〇〇すると、こういう素晴らしいことにつながるのね」といった伝え方です。

 

また、時間についても、過去や現在、未来がつながっていることを理解できるように仕向けると、「今」頑張ると「後」で楽になる、という時間的な展望もできるようになります。

 

対人関係についてもメタ的な認知が可能です。物語の主人公だけでなく脇役の関係性や気持ちを想像することは、対人関係の広がりを視野に入れることができるようになりますので、一緒に考えてみるといいですね。

 

そういった経験の積み重ねから、多くの視点を持てるようになるのではないでしょうか。

  

遊びながら、大人が気付きを与えてあげるということですね。

読み聞かせ以外でも、意識できることがたくさんありそうです。

 

渡辺先生

「いろいろな見方がある」と教えてあげられる場面はたくさんあります。

 

公園で整備されたきれいな景色を見ているときに、地元の人から「整備するために殺虫剤を使ってるから、実は虫が減ってるんだよ」と聞いたら、どうでしょう。自然の美しさを鑑賞している一方で、自然を壊している場合もあるんだといったことを学びます。色々な視点から考えたり、多様な方法を試してみたりすると、それだけで少し見方が変わりますよね。

 子どもを観察して、できることを考える

注意すべきことはありますか?

 

渡辺先生

まず大切なのは、子どもの気持ちに寄り添うことです。例えば勉強で分からないことがあった時、「なんで分からないの!」と叱られても切なくなるだけ。「これって難しいよね」と寄り添ってやれば、安心できます。

 

その上で、「もしかしたら、問題を読み間違えてるんじゃない?」「問題をよく読んでみようか」など、子どもが気が付いていないところをさりげなく教えてやったり、良い方法を少し教えてあげたりしてもいいですね。

  

イライラして「どうしてできないの?」って思ってしまうことってありますよね。反省です。

 

渡辺先生

ただ基本的には、お父さんお母さんは、子どもに対して「何かしなきゃ」って思い過ぎだなと感じます。

 

親が先々何かをしてあげると、親は子供に期待しすぎるようになります。「―してやったんだから、―するだろう」といった勝手な期待です。そうすると子供の心は窮屈になり、親の期待に沿うように行動しないといけないと感じ、楽しさがなくなります。

 

子供の好奇心ややりたいことに親が関心を持ってやりましょう。そして、子供がやりたいことに、「やってみようか」と応答してやります。

 

一番いいのは、毎日おもしろがることです。映画監督になったような気持ちで、子どもをいろんな角度から観察してみたらどうでしょう。

 

ほんの1ヶ月でも、先月できないことができるようになっています。人が成長していくところを一番近くで見られるって、すごくおもしろいことのはずですよ。

  

映画監督のような気持ちで…!確かに、子育てしていると驚きや面白いことってたくさんありますね。

 

渡辺先生

例えば幼児なら、子どもがスマートフォンを「ブッブー」と車に見立てて遊んでいたとします。「あ、こんなふうにイメージで遊べるようになったんだ!」って子どもの発達に感動してほしいのです。

 

「じゃあお母さんは新幹線だよ」ってペンを新幹線に見立てて一緒に遊んでみるとか。それも子どもにとっては新しい視点です。さらに想像力を膨らませることができます。

 

子どものことをよく見ているようで見ていない人も多いと感じています。教育や子育ての本を読んで「今の時期はこれができるはず」と考えるのではなく、目の前の子どもを見て「この間はこんなことできていなかったのに、すごい!」と感動してほしいですね。

メタ認知で、いいところにも目を向けて


 本に載っていることや周りに振り回されてしまうこと、よくあります。もう〇ヶ月なのにこれができない、あの子はできているのに…と感じたり。

 

渡辺先生

子どもって「これがやりたい」「あれもやってみたい」という意欲が凄く大きいですよね。それをキャッチした応答的な態度が大切なんです。

 

親が頑張りすぎて、「やってあげたのに」と感じてイライラするのではなく、子どもをよーく観察して、求めているものを与えてみてください。子どもを観察して、自分ができることを客観的に考えて行動する。これもメタ認知ですね。 

 

メタ認知を生かすと、少し子育てをするときにも気持ちが楽になりそうです。

 

渡辺先生

できないところだけでなく、自分のいいところを理解して行動するのもメタ認知です。頑張って子育てしているのに、それを自分で肯定できていないお父さんお母さんもたくさんいるのではないでしょうか。

 

周りと比べるのではなく自分をきちんと捉えて、「これはこのままで、あちらはこうしてみよう」といった、生き生きできる選択をしてほしいと思います。きちんとモニターして、お父さんお母さんが自分を肯定できるようになるといいですね。

  

メタ認知に興味を持っているお父さんお母さんに、最後に一言をお願いします!

 

渡辺先生

つい我を忘れて、感じたままに凹んだり、怒ったりしてしまいがちですが、ちょっとそんな自分を上から見てみてください。「そんなに凹まなくていいんじゃない。やり方を工夫することで乗り切れるよ」といった自分の心の声を聞きましょう。

 

親自身がこうしたメタ認知について理解することは、子育てをより望ましい方向にするだけではなく、親自身の自己肯定感につながります。ぜひトライしてみてください。

 

 

メタ的な発想の芽は、日常にもたくさんありそうですね。取り入れることで、子育てや日常が楽しくなりそうです。

ちょっとずつ意識して生活してみると、新しい視点が得られるかもしれません。

 

 

プロフィール 渡辺弥生先生

渡辺弥生教授

法政大学文学部心理学科教授。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員を経て現職。専門は発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学で、子どもとの関わり方や感情マネジメントに関する講演も積極的に行う。「感情の正体」(ちくま新書)「子どもの『10歳の壁』とは何か?-乗りこえるための発達心理学」(光文社新書)など著書多数、「まんがでわかる発達心理学」 (講談社)など監修。

取材・文・写真/小西和香

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