▲小児科病棟でボランティア中の稲富さん

 

……ところでマルタ人同士はマルタ語で会話することが多いと聞きますが、語学学校以外で英語を学ぶ機会はありましたか?

午前は語学学校で英語をみっちり学び、午後は公園や保育園のお友達のお家で遊んだりしていました。基本的に家族だけで過ごすときは日本語でしたが、ネイティブのお友達と遊ぶと必然的に英語を話すことになり、英会話の良い練習になりました。 また、午後~夕方の時間を持て余していたときに、活用していたのが参加費無料のカンバセーションクラブです。色々な語学学校の生徒が集まって、バーでお酒を飲みながら、ひとつのテーマについて話したり、人生ゲームで遊んだりしました。 私が参加したものは、Facebookに告知や募集情報がアップされており、コロンビア留学生のエージェントのスタッフがオーガナイズしてくれていました。 それからボランティアもしていましたね。現地在住の日本人の方がボランティア団体に加入していて、3〜4種類のボランティアを紹介してもらいました。私は小児科病棟で折り紙を教えたりしました。 ただ、残念なことにこのようなボランティア情報は留学生には、なかなか入ってこないんです。マルタでのボランティアについてブログで書いたら、反響が大きく「こういう情報が求められているんだな」と思いました。

 

……親子留学をする上で注意点はありますか?

1点目は、留学の目的や留学後の目標を明確に設定することです。留学は目的ではなく手段だと思います。その考え方の差が、習熟度の差につながっているように感じました。周りの留学生を見ていても、留学後にどのくらいの英語力を得て、その先、英語を使ってどうなりたいかが明確な留学生ほど習得が早かったです。 2点目は、下調べをしっかりすることです。知りたい情報があれば エージェント、ブログ、Instagramなどを調べ上げて不安点を潰しておくと良いと思います。 留学してから「こんなはずじゃなかった」と思ってしまうと、留学自体が無駄になってしまいます。準備段階でどれだけリサーチして情報を集められるかによって、留学の質が大きく変わると思うんです。留学準備という言葉を聞くと「物」を準備することを考えがちですが「情報」が何よりも大事だと思います。

 

……いざ親子留学をしようと思っても、リスクを考えて踏みとどまってしまう人もいると思います。そういう方へ向けてアドバイスがあればぜひお願いします。

留学のメリットとデメリットを書き出してみると良いと思います。デメリットは、ひとつずつ潰していけるんですよ。医療面は海外旅行保険でカバーできますし、緊急事態が起こったとしても、事前に現地に住む人と仲良くなっておいたり、信頼できる留学エージェントにお願いすればリスクを軽減できます。 費用面の不安は、事前に何にいくらかかるか試算しておけば留学先の国や期間を調整することで、解決に近づきます。 マルタの場合は、治安がとても良く、人も優しいので、仮に何かあったとしても、周りの人たちが助けてくれる文化だと聞いていたのですが、まさにその通りでした。

 

▲アイスランド旅行中の稲富さん一家

 

……親子や母子でセブ島に留学している方もいるようですが、あえてマルタに留学した方が良いと思うところはありますか?

この1年間の間に、思い切りヨーロッパ旅行したかったのも、マルタを留学先に選んだ大きな理由のひとつです。マルタは「ヨーロッパのヘソ」と呼ばれている国なので、留学中に近隣国に気軽に旅行できるという大きなメリットがあります。 私たちはイギリス、アイスランド、イタリア、スペイン、オーストリア、ドイツに行きました。アイスランドは大自然が素晴らしかったです。旅行は「遊び」だけではなく「価値観」をリフレッシュするのにも良い機会になります。 国が違えば、言葉だけでなく、考え方、家や道のつくりなどすべてが異なります。その文化の違いを見て、感じて、体験して、そこから得られるものがあればいいな、と思っていました。娘もたった2~3歳にして「国」や「文化」というものの概念が分かったようです。これは、経験の賜物だと思っています。

 

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