「会社を辞めて起業する」…夫に突然言われたら、あなたはどうしますか? 安定したサラリーマンの収入を捨て、夢と熱意に突き進む夫に「いいよ」と言ってあげられるかというと、現実はそう簡単ではありません。夫の「脱サラ」を止めなかった妻たちが後悔していることや、昔との比較をお聞きしました。
【体験談】夫の脱サラによって感じた変化や後悔
結果的には一長一短(ゆりさん/35歳/専業主婦)
3年前に夫が脱サラして、事業を立ち上げました。「会社を辞める」と言いだしたときは、すぐには賛成できませんでしたね。夫は当時、ちょっと名の知れた企業に勤めていて、30代にしてはなかなかの年収でした。
子どももいるので、安定した生活を求める気持ちはありましたね。でも、ハードな仕事のなかでストレスを抱えて、しんどそうに働く姿を見る毎日が辛かったのも事実。夫の決意も固く、止めることはできませんでした。
いまは、好きなことを仕事にできていきいきと楽しそうです。家族との時間も多く持てるようになったので、結果的によかったのかなと思っています。
とはいえ、「生活に困るレベル」とまではいきませんが、サラリーマン時代より収入は減ってしまいました。「思いきって脱サラしてよかったね」と話すこともありますが、「もうちょっと頑張って稼いでよ!」と言いたい気持ちもあります。
もっと真剣に考えるべきだった(りかさん/31歳/営業事務)
結婚して3年目、帰宅するなり夫が「俺、仕事辞めるから!」と言い出しました。「夢だったお店を開きたい。会社員は向いていない」とも。当時は私もまだ若く「夫の夢を応援してあげたい、なんとかなる!」と、よく考えないままに賛成してしまったのです。
でも、やっぱり自分で経営するってそう簡単なことではありませんよね。その後、旦那は退職して自分のお店をオープンしましたが、「夢はあってもノウハウなし」で、売り上げは毎日厳しい状態が続いています。
口にはしませんが、夫にも「こんなはずじゃなかった」というあせりがあるようで、一気に老けましたし、雰囲気や態度もキツくなりました。
いまは私も働いているので家計はなんとかなっていますが、このまま余裕のない生活が続くのかと思うと不安です。あのとき夫を止めていたら…いまごろ家族旅行したり外食したり、もっと余裕ある暮らしができていたのかなと考えることも。
もっと慎重に向き合って、考えればよかった…悔やんでも仕方ないですが、脱サラを止めなかったことは本当に後悔しています。
夫が本気だったからいまの幸せがある(よりこさん/36歳/パート)
ちょうど1年前に、旦那が脱サラしました。昔から「いつかパン屋をやりたい!」と言っていたのですが、冗談まじりの夢の話だと思っていました。「資金も貯まったし、会社を辞めてパン屋を開く」と言いだしたとき、ようやく(本気だったんだ!)と気づき、驚きで言葉が出ませんでした。
頭ごなしに反対するのもよくないと思い、まずは話だけでも聞いてみようと。すると、開店計画や仕入れ、メニューのことなど、事細かくプランができあがっていて。旦那の本気が伝わってきたことで反対する気になれず、むしろ応援したい気持ちが芽生えてしまったんです。
それからは私も一緒に、毎日くたくたになるまで働きました。計画通りに進まないこともたくさんあったし、本当に大変でしたね。でも、夫婦で一緒に頑張ることなんてそれまではなかったので、いま思うとすごく楽しい時間だったと思います。
お店は無事オープンできました。最初はお客さんも少なかったのですが、口コミやSNSのおかげで、最近では閉店前には売り切れるようになりました。脱サラしてから軌道に乗るまで、金銭的にも体力的にも本当に大変でした。結果的に、いまは幸せです。
夫の脱サラの行方はさまざま。夫婦で慎重に検討を
夫の人生を尊重したい気持ちはあっても、やはり現実は甘くありません。脱サラが成功するかどうかは、努力や入念な準備が大きいと言えるでしょう。後悔しないためにも、夫婦で慎重に考えることを忘れずに!
ライター:白藤やよ