なぜ夫は妻のコミュニティに参加しづらいのか?

 

髙橋

夫婦にとって、子どもや家庭のこと以外の共通言語があるっていうのはいいと思うんです。僕は年に何度か妻の集まりに顔を出したり、我が家に妻の友人家族を呼んで一緒にご飯を食べたりするのですが、そうすると妻の友達が自分の友達にもなって、「あの子が今度結婚するんだよ」って会話もできて。向こうの旦那さんとも仲良くなって、旦那さん同士が集まったところで誕生日会をしてもらったこともあります。僕は妻に呼んでもらったからその人たちとの交流もできて、「あの人元気かな」とか「子ども生まれたらしいね、なにお祝いしようか」っていう会話が増えたような気がします。

 

寺島:

でも、妻のコミュニティに参加するって難しくないですか?

 

阿部:

僕も普通に入っていきますよ。例えば子どもを預けている時とかに、妻が大学時代の友達と女子4人で飲んでますっていうところに入っていって、普通に会話もします。妻の友達ともやり取りできる関係にあるので、妻とけんかしたときなんかは周りがサポートしてくれるみたいなところもあるんですよね。

 

髙橋

うちはスーパーダディの活動をやると、妻は妻で友達と会う自由な時間ができて嬉しいっていいます(笑)。

今の時代の男らしさは威厳よりも信頼性
「父ちゃんすげー」もいいけど、やっぱり安心できるのが最高じゃない?

——−ちなみに、みなさんは子育てに対してどんなスタンスですか?怒ったりします?父親の威厳、みたいな…

 

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松延:

うちはかみさんが「怒って」のパスを出してくるんですよ。こういうことがあったからって僕に怒らせて、子どもが「ママ〜」っていってママと一緒に寝るみたいな。僕はそういうのも父親の役割なのかなって。もうお父さん怒らせたら最後みたいなところもあるので。

 

髙橋

うちは妻の方が威厳がある(笑)。食べ方とか靴揃えなさいとか、そういうのにうるさい。そこは女性目線なのかな。男性が気づかないところ。だから妻と夫、2人で子育て、2人で家事、2人で仕事っていうのがいまの時代に必要なのかなって。自分なりの全部をシェアするっていうか、気付いたもの全部シェアするようになればいいなって思っています。威厳はあればあったでいいとは思うんですけど、でも威厳よりも、子どもが最終的には親のことを信用してくれるような感じに作れればいい。威厳より信頼性。人間関係とか悩んだりした時に、父ちゃんには言っておこうとか、ママには話そうみたいな感じになりたいなと。

 

寺島:

威厳よりも信頼、ですね。うちの妻は、家だけは何があっても大丈夫な「安全基地」を作りたいってずっといっていて。子どもって外で色々トラブル起きたり喧嘩したりとかあるけど、でも家に帰ってくると安心してご飯食べられるみたいな。子どもって親がすべてをマネージメントできるわけじゃない。それぞれのコミュニティがあって、友達があって、トラブルもあって。それを隠そうと思えば隠せる。でも困ったら親父に話してみようとか、お母さんに相談して助けてもらおうというのは信頼関係でしかなくて。そこの関係って小さい時からの繋がりだから、これから育んでいきたいところですね。

 

松延:

いまって子どもの人権が確立されているというか。僕らの時って「なにガキのくせに」っていわれることってよくありましたよね。でもいまは子どもにそういうことをいう人ってあまりいないじゃないですか。大人が子どもをあんまり押さえつけないし、愛情表現はすごいするし。

 

寺島:

押さえつける方が楽ですよね、親としては。ダメっていったら理由もなくダメっていった方が楽。子どもは子どもなりに考えているところがあるから、そこを尊重しながら育てようとすると、すごく手間がかかるし面倒。でも、そっちの方がいい関係が築けそうな気はします。理想論ですけど。

 

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阿部:

でも、例えば商業施設なんかに行った時、子どもをめちゃめちゃ怒ってるパパママがいる。そういう場面って結構目にするなって感じていて。全体のパイで見たらまだまだそっちの方が多いのかなって感覚はあるんですよね。ある意味子どもと対等に接するみたいなことができている人は当然一定数いるんですけど、一方でそうじゃない層の方が全体では多い。だからこそ、まだまだなのかなっていう問題意識はあるかなって。

 

——−子どもを尊重したいと思っていても、心身共に疲れ切った状態で子どもが駄々をこねたら無意識でグワッと感情が表に出てしまうこともありますからね。人間誰でも。もちろん、理想をどれだけ実行できるかも重要ですが、まずは自分が目指したい親子関係を心に描いておくことが大切なのかもしれませんね。