最近30代、40代にもふえているといわれている乳がん・子宮がんなどの婦人科系の病気。
自覚症状がない場合も多いので、検診がとても重要です。
「自分は大丈夫」と思わずに、しっかり知識を身につけておきましょう。
後編では子宮の病気についてご紹介します。
教えてくれたのは…
甲斐敏弘さん
新都心レディースクリニック院長。自治医科大学卒業。2007年に乳腺・甲状腺の検診を専門とした新都心レディースクリニックを開業。乳がんなどの早期発見に尽力している。日本乳癌学会認定医。
池下育子さん
いけした女性クリニック銀座院長。帝京大学医学部卒業。都立地産院産婦人科医長などを経て、1992年に開業。多くの女性たちの心身の相談に本音でアドバイスをしている。著者やメディア出演なども多数。
30代から40代で子宮頸がん罹患率が激増
子宮の病気のこと
働く女性の増加とともに、子宮の病気は若年化している傾向があります。子宮筋腫や子宮内膜症のトラブルはもちろん、その前がん状態の人が顕著に増えているそう。その原因として、ストレスや生活習慣も大きくかかわっているといいます。 ただし、子宮の病気のなかでも子宮がんは検診で発見でき、治る可能性が高い病気。母親、妻、社会人の3足のわらじを履いているワーママは、自分のことをつい後回しにしがちですが、1年に1回は検診を受けて早めにトラブルを見つけることが大切です。
子宮の病気の種類
子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮内がん」がありますが、この2つはまったく異なるがん。 まずは2つのがんについて、その特徴を見てみましょう。
子宮頸がん
HPVの感染が関係するがん
子宮の入り口である頸部にできるがん。性行為によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)が発症にかかわっていることがわかってきました。HPVは生経験のある成人女性なら生涯に一度は感染するといわれるありふれたウイルス。通常は免疫力が働いて排除されますが、ウイルス感染が続くと子宮頸がんが発生してしまうことが。自覚症状はほとんどないため、検診を受けることが早期発見につながります。
子宮頸部の組織を採取する細胞診で早期発見が可能。細胞診によってがんの疑いがでた場合は、組織診で詳しく検査することになる。
子宮体がん
女性ホルモンの乱れなどが原因に
子宮の奥の体部にできるがん。女性ホルモンであるエストロゲンの刺激が長期間続くことが主な原因といわれていますが、生活習慣が乱れていたり肥満体の人、出産経験がない人などもかかりやすいことがわかっています。以前はホルモンバランスがくずれる閉経前後の女性に多く発症していましたが、最近では40代を中心にふえる傾向が。最もよく見られる自覚症状は不正出血です。少量でも長く続く場合や、性交時に出血がある場合は早めの受診を。
細胞診や組織診、超音波検査などを複合的に用いて診断する。超音波検査は職場の検診メニューに含まれていないことが多いので、年に一度は受けるようにすると安心。