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そうめんの奥深い魅力とレシピを伝える今回の特集。第2回目はおいしいそうめんの選び方、正しいゆで方についてうかがいました。

 

 手延べ式と機械式
その違い、説明できますか?


ちなみに、おいしいそうめんの選び方ってあるんですか?

 

ソーメン二郎さん:

みなさんそうめんの知識がほとんどないので、つい安いのを買ってしまう。揖保乃糸でさえ高いと思ってしまうんですね。でも、値段ではなく製法の違いがあります。それを知ってもらって、おいしいそうめんを買って欲しいんです!

 

そうめんには手延べと機械式があります。手延べの麺は1本に見えても実は2本をこより状にして引き伸ばしたものなので、コシがあって切れにくい!食感が違いますよ。だから“縁が切れないように”という意味で、1200年も前から天皇陛下に献上されてきました。また、今では廃れてしまったお中元文化ですが、昔はお中元の代表格がそうめん、それも三輪そうめんでした。お中元は夏のタイミングで半年間お世話になった感謝の気持ちと「下半期もよろしくお願いします」という気持ちを渡す、日本のすごくいい文化。そこでも“縁が切れないように”、“白い糸で繋がっている”という意味で手延べそうめんを贈っていたのです。

 

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いっぽう、機械式は板状の生地を細く切り出しているだけだから、コシがなく切れやすい。もろもろって溶ける感触になります。

 

そうめんは家庭料理でお母さんの料理。お母さんが作るそうめんが子どもにとってのそうめんになるわけで、お母さんが機械麺を買っていたら、その子はその味がそうめんだと思って一生を過ごすことになりますよ。

そうめんで始まる家族との会話
これぞ“コムギケーション”(笑)


なるほど!今までそうめんはそうめんだと思っていました!子どもには本物の味を知ってもらいたいですね。あとはバリエーションですね!二郎さんはそうめんのレシピ本も出されていますが、アイディアはどこから出てくるんですか?

 

ソーメン二郎さん:

僕は本家がそうめん屋なので、子どものころはしょっちゅうそうめんを食べていて、朝も食べるし、すき焼きとかこってりしたものを食べたあとは締めとして食べることも多かった。毎日だから飽きるんです。でもそうめん屋だから逃げられない(笑)。そこで、自分が飽きないためにツナ缶を入れたりしていろいろ食べくらべをして、自由研究として発表もしました!それが小学校2年生の時で、そのころからずっとやっています(笑)。

 

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子どもでも、お父さんでも作れるんだから、そうめんは手ぬき料理じゃなくて“お母さんにラクをさせてあげられる料理”“お母さんが手をぬける料理”なんです。だから、そうするためにはちゃんとした作り方をまずはお母さんが勉強して、お父さんや子どもに教えること。お父さんたちもやってみると楽しくなってくるはずです。めんつゆや薬味を変えてみたり、「今日は徳島の半田そうめんにしてみるか」とか、いろいろ知識がふえていきますよね。すると家族でそういう会話ができるようになるでしょ?そうやってコミュニケーションできて、食育にもなるわけですよ。

 

もしかしたら「そうめんを作っているところを見に行きたいね」という話にまで発展して、「そうめんの産地に旅行に行こうか」みたいなことになるかもしれません。小豆島だったら、特産品のオリーブオイルやごま油をそうめんに使ったりしていて勉強にもなります。そうめんはみんなとワイワイできる麺、つまりエンターテイメントなんです。それを僕は“コムギケーション”と呼んでいます(笑)。ちゃんとした手延べそうめんで楽しく食べてもらいたいですね。

 

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お湯のなかに梅干しを!?
そうめんの正しいゆで方を学びます


…ということで、家族でワイワイ“コムギケーション”をするためにも、そうめんの正しい作り方を覚えておきましょう。コツさえ掴めば、そうめんのコシの強さと、ツルツルしたのど越しが堪能できるように。いつものそうめんが、何倍もおいしく感じられるはずです。

 

STEP1|鍋に麺の10倍の湯を沸かし、梅干しを1個入れる

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▲これがそうめんにコシを出す最大のポイント。酸っぱい梅干しを入れると、クエン酸効果で麺にいっそうのコシが出ます。

STEP2|麺はパラパラとさばくように入れる

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▲沸騰したら帯から外し、おぐしておいた麺を入れます。

STEP3|麺は対流させながらゆでる

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▲最初に麺をほぐしたら、あとはグルグルと対流させるだけに。

STEP4|仕上げに冷水でもみ洗いする

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▲復路の表示時間どおりにゆでたらざるに上げ、冷水でもみ洗いして水けをよくきる。

ゆでるときのご法度3か条


1.かき混ぜすぎない!

麺がくっつきすぎないようにと、何度も菜箸でかき混ぜると、麺の表面を傷つけて小麦の風味を損なう。かき混ぜるタイミングは最初に麺をほぐすときだけに。

2.びっくり水はやらない!

ふきこぼれは火加減で調節を。水を入れると沸騰した湯の温度を急激に下げてしまうので、麺の表面を傷つけてしまう。

3.氷水につけない!

ゆで上がった麺を氷水につけて食卓に出すと、氷のカルキ臭が麺に移って小麦の風味がどんどん失われる。氷を使うのは、冷水でもみ洗いするときに限り、短い時間で済ますこと。

 

さぁ次は、「そうめん本場の絶品レシピ2品【ソーメン二郎伝授】」をご紹介します!

 

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そうめん料理研究家・ソーメン二郎


そうめん研究家、『そ道』 家元。奈良県桜井市生まれ。三輪そうめん製麺所『植田製麺所』の家系に生まれ、全国各地のそうめんを食べ歩き、そうめんの復権活動を行う。「ソーメン道」ブログ主宰http://somendo.blogspot.jp/。書籍『簡単!極旨!そうめんレシピ』(扶桑社刊)を監修。

文/田川志乃 撮影/粕谷麻衣子