「家庭料理」でしか得られないものがある

「他の人はどうしているのだろう」と疑問に思い、同僚の女性たちに聞いてみると、みんなが同じような思いを抱えていることを知ります。


「子どもの個性やそれぞれの家庭で悩みは違っても、満足のいく食事を作ることはできていないのは同じでした。今までは受け継がれてきた家庭料理やそれにまつわるさまざまな知恵が、私たちの世代でプツリ途切れてしまっているんだと感じたんです」。


そのぶん、便利なサービスは増えました。下のグラフでもわかるように、食の外部化率は上昇。低価格の外食産業やデパ地下総菜などの中食、デリバリーサービスもいつだって気軽に利用できます。宅配食材のキットも大人気だそう。


では、このまま「料理を作らない」という方向へ、時代は流れていくのでしょうか。作れないなら買えばいい、外で食べればいい、そう簡単に気持ちは舵を切れるのかと自問したとき、なかなか難しいものがありそうです。

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「お惣菜や外食を否定はしません。でもやっぱり、家庭の味っていいものだと思うんです。私の子どもたちは、いつものひどい食卓が自分の家庭の味の記憶になるのかと思ったら、たまりませんでした。もちろん、私が休みの日に作り置きをしたり、朝早く起きて作るという手もあります。でも、だれかひとりが負担をおえばいいというものじゃない。助けてもらえるシステムがあってもいい、きっと多くの人が望んでいるんじゃないかと」


同じような考えを持ち、ひと足先に起業を目指していた同僚の飯田陽狩さん(シェアダイン代表取締役社長)に強く誘われ、家庭料理の出張作り置きサービスを立ち上げに参加することになったのです。