小学校の先生たちが工夫していること

現在、公立小学校の教員で、「道徳の教科化を考える会」の代表でもある宮澤弘道さんは、道徳の教科書が提示する価値観を子どもたちに押しつけることのないように、「中断読み」を提唱し、実践しています。 たとえば、前出の「ブラッドレーのせい求書」を読むときに、

「お母さん、このお金は返します。そして、お母さんのために、ぼくにも何かさせてください。」と言いました。

という結論を読んでしまうと、「家族愛は無償である」という〝正解〟の察しがついてしまいます。そうなると他の価値観は“不正解”になると思われ、意見は出にくくなります。それゆえ、ひとつの価値観に誘導されることなく、子どもたちの様々な考えや意見を引き出すために、教科書を最後まで読ませずに議論させるのです。

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