道徳の教科化は何が問題なのでしょうか?

かつては道徳の授業に教科書はなく、代わりに「副読本」と呼ばれるものを読んだり、教育番組を見たりして、感想を述べあったりするものでした。当然、結論もありませんし、成績として評価されることもありません。 


しかし、道徳が教科化されたことで、国語や算数と同じように「教科書」を必ず使わなければならなくなり、「評価をする」ようになったことが大きく変わりました。ただし、他の教科と違って「数値」などではなく「記述式」の評価になります。


このように、他の教科とは異なる枠組みで実施されるため、「特別の教科」とされています。


道徳の教科化の流れは、2011年に滋賀県大津市でおきたいじめ自殺問題をきっかけに舵をきられ、大きく推進されました。しかし、「いじめをしてはいけません」と教科書で教えられて、すんなりと解決するものでしょうか? 「命を大切にしよう」と言われても、その背景や理由を探り、問題の解決がされない限り、自殺が減らないことと同じです。