痴漢被害を考慮して、2001年から導入がスタートした“女性専用車両”。今ではすっかり一般的な存在となっていますが、その一方では痴漢冤罪を危惧する男性たちの声も。「無実でも疑われてしまう」と、“男性専用車両”を求める声が年々増えているようです。
「男性専用車両」賛成派は男性より女性の方が多い!?
日本法規情報が発表したアンケート調査によると、男性専用車両を“必要”と考える人は全体の6割以上を占めるそう。痴漢冤罪を取り上げるニュースをよく見かける昨今。一見、男性専用車両を希望する声は男性が多いようにも感じますが、ある調査では意外な事実が明らかになりました。
BIGLOBEモバイルによる「通勤に関する意識調査」では、男女800名を対象に“男性専用車両の導入”についてアンケートを実施。そのうち男性で「希望する」と回答した人は49.8%だったのに対し、女性は全体の57.8%を占める結果に。男性よりも女性の方が“男性専用車両の導入”に前向きなようです。
この調査結果に対して、ネット上の女性ユーザーからは「身内が痴漢冤罪になると嫌だから作ってほしい」「男性は冤罪を防げるし、女性は痴漢に遭わなくて済むからお互いにメリットあるよね」「男性に密着して電車に乗ること自体が嫌なので、男性専用車両には賛成です」など導入に前向きな声が続出しました。
なぜ被害者側が閉じ込められるのか…
“女性専用車両”に対する海外の考え方
日本では当たり前の存在である“女性専用車”ですが、オーストラリア・シドニーでは批判的な意見が多いようです。以前からシドニーの公共交通機関の労組は、多発する電車内のわいせつ行為を問題視してきました。そこで考えられた対策案が、午後8時以降の夜間中に女性専用車両を運用するというもの。
しかし市民からは総スカン状態で、オーストラリアで有名なフェミニストであるエヴァ・コックスさんに至っては、「女性を特別車両に閉じ込めるより、不穏な空気を出している男たちを専用車両に隔離した方が良い」「潜在的な犯人を閉じ込めるか、女性から離す方がよっぽど効果的」と“女性専用車両”を全面的に批判しています。
オーストラリアでは「女性専用車による“隔離”=屈辱的な仕打ち」と受け止められているようで、「なぜ被害者側が閉じ込められるのか」「犠牲者側の女性たちに屈辱を強いるのはおかしい」という意見が多く上がっているそう。中には、「作るべきは女性専用車両ではなく、むしろ“男性専用車両”」とコックスさんの考えに賛同する声も。
海外でも必要性を唱えられている“男性専用車両”。導入に賛成する声の多い日本では、実現する日もそう遠くはないのかも?
文/内田裕子