マックスの仲間たち
カメラマンのギイ(ジャン=ポール・ルーヴ)は、ゲストの料理をつまみ食いしたり、式の最中に出会い系アプリで遊び相手を探したりとやりたい放題。本当は報道カメラマンになりたいという気持ちを抱えたまま、結婚式の専属カメラマンをしています。自分の隣でスマホ撮影されるのが不快だと、ゲストのスマホを壊したり…。もし、自分がマックスの立場だったらと、ハプニングが起こるたびに考え、一緒に頭を抱えるのですが、マックスの仲間たちは“憎めないキャラ”が多いところが、これまた厄介なのです。
コスチュームが暑い、クサイと不満を言うスタッフ、スポットライトを浴びる夢が捨てられないバンドボーカル、仕事はできるけれど主張が強すぎチーフスタッフ、経験がないのにヘルプとしてやってくるスタッフ。さらに、人の言葉遣いが気になる元国語教師のジュリアンは、新婦の元同僚だったりと、さまざまな個性のたまり場となっています。
引退を考えていたマックスは…
古城という場所柄、電源がたっぷり確保できないため、みんなで仲良く電気を使わなければなりません。チームワークの見せどころなのですが、主張がぶつかり合うチームなので、あちこちで電源問題も勃発します。
冷蔵庫の電源が入っていなかったため、肉が腐ってしまったり、スタッフが食中毒になったり、タイミングが合わず一気に電気を使用して停電してしまったり…と踏んだり蹴ったり。
どんなにハプニングが発生しても、ベテランのマックスはなんとか切り抜けていきます。仕事ができるスタッフももちろんいるので、ぶつかりながらも華麗なるチームプレーを見られるシーンもあります。それでも限界はあるもの。完璧なパーティーに幕が閉じる直前に、最大のハプニングが起きてしまいます。
ついにマックスの怒りが爆発!指示を仰ぐスタッフに「自分たちで考えろ!」と言い放ってしまいます。ナルシスト新郎の結婚パーティーはどうなってしまうのでしょうか。
「それもまた人生さ!」
セラヴィ!とは、「まぁ、これも人生さ!」というフランス語の定番フレーズです。どんなにハプニングが続出しても、それもまた人生と明るくスマートにやり過ごしたいですよね。マックスがあれだけの個性キャラの集合体をコントロールできたのも、「セラヴィ!」な考え方と、愛があったからこそ。ぜひ、見習いたいところです。
またこの作品には最近の結婚式事情をはじめ、考えさせられる問題も散りばめられています。夫婦&恋人問題から家族のあり方、友人との距離など、身近な人間関係から、メールが思うように打てない&アプリを知らないといった発言からわかるデジタルテクノロージー関連の世代間ギャップや外国人労働者問題まで。生きている限り、悩みや問題は尽きないもの。それもまた人生ですよね。
結婚式の裏側で繰り広げられるドタバタコメディ。キャラクターの個性は強いですが、愛とユーモア溢れる優しいメッセージに心が温まります。
文/タナカシノブ