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毎晩続く夜泣きにいつまでつき合えばいいの…!?トイレトレーニングが終わらない…!など、育児の悩みはつきません。どうしてもうまくいかない…。自分を追いつめそうになったとき、ほかの国の育児事情に目を向けてみませんか?日本ではあたりまえとされていた育児論も、意外と海外では誰も知らなかったなんてことも。視野を広げることで、気持ちがラクになるかもしれません。アメリカと日本での育児経験をもとに、ぜひ知ってほしい、海外の育児情報を定期的にお伝えします。

 


[第4回 搾乳器のメリット]

アメリカでは定番の”搾乳器”


前回は液体ミルク事情を紹介しましたが、今回はアメリカで母乳育児をするにあたって不可欠なさく乳器の話題をお届けします。「さく乳って痛そう」「いつさく乳すればいいのかわからない」…そんな理由から日本ではまだまだ使ったことのないママが多いようですが、アメリカではほとんどのママたちが使っているアイテムです。うまく使うと母乳育児の悩みを減らすことができますよ!

 

さく乳器とは母乳をしぼる機械で、電動のもの、手動のものなど種類があります。最近では両手を使わないですむブラジャー型のものまで登場しているほど!


 

アメリカのママによると「手でさく乳すると手や肩が疲れますが、さく乳器を使うと簡単にしぼれるのでかなり楽です。最初はさく乳器でのさく乳に抵抗はありましたが、全然痛みもなくて驚きました。私は手動のものを使っていますが、電動のものを使っている友達も全然痛くなくてあっという間だと言っていました」。

アメリカでメジャーな搾乳器ブランドMedela社

アメリカでメジャーなMedela社のものは、日本でも人気があり購入が可能です。両方の乳房から同時にさく乳できる電動のものが特に人気。しぼった母乳はフリーザーバッグに入れれば冷凍で約6か月保存が可能です。


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▲手動のものは価格が手頃で外出時などに便利。

 

アメリカでも日本と同様、栄養面などから推奨されているのは母乳。米国小児科学会(AAP)が母乳を推奨しているため、最低1歳までは母乳を与えるようにどの病院でも言われます。産前に母乳について勉強するクラスがあったり、産後に母乳育児のコンサルタントが来て授乳のやり方を教えてくれるなど、手厚いサポートも。


しかし、アメリカではほとんどの人が産後2、3か月で職場に復帰します。そのため、母乳育児を続けたいママはさく乳器を使うことで、母乳育児を継続させているんです。しかしその状況は相当大変なようで…。


アメリカ在住のママによると「家でだけでなく、昼間仕事中にさく乳して母乳を会社の冷凍室にストックしているママがほとんど。そのストックを保育園に持っていって保育士さんから赤ちゃんに与えてもらうという形で母乳育児を続けているんです。職場でもLactation Room(搾乳・授乳室)があるところも増えていますね」。

 

ただ、日本は育休が長いため仕事復帰の際にはすでに卒乳していたり、保育園でさく乳は受け付けていない場合も多いですよね。また、日本のママは仕事復帰のタイミングメインというより、産後すぐから使用した方が有効に使えそうです。では、どんなタイミングで使ったらいいのでしょうか?

日本で搾乳器を使うタイミング

さく乳のおすすめのタイミングは、授乳後に母乳が残ってしまったなというときや、授乳の時間になっても赤ちゃんが寝ていて授乳できないといったときです。そうしたときに母乳を飲ませず乳房に放置しておくと、乳腺炎の原因になったり、母乳の生産が落ちてしまう原因に。そうなる前にさく乳器を使って残った母乳を処理しておきましょう。ただし、あまりさく乳しすぎると余計に胸が張る場合があるのでご注意を。


さく乳した母乳を冷凍保存しておけば、パパや両親が代わりに授乳してもらうことも可能です。また、ママが病気で薬を飲まなければならないときや乳首に傷ができてしまったときでも、母乳育児を続けることができますよ。

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また、さく乳器は母乳不足に悩むママにもぜひ試してもらいたいアイテムでもあるんです。さく乳器によっては母乳の分泌をうながすモードがあり、刺激して母乳の出をよくできるケースもあるそう。


個人差もありますが、あるママによると「産後すぐは母乳がなかなか出なくて、ミルクも使っていました。母乳をたくさん出すためには吸ってもらうのがいいと聞いていましたが、子どもも小さい頃は吸い始めるとすぐ寝ちゃって…。あまり出なくても、授乳の後にさく乳器で少ししぼるようにしたらいいと母乳コンサルタントに聞き、試してみたらそれから少しずつ母乳の出が増えました。3ヶ月ごろには完全母乳になりました」。母乳の出に悩んでいる人は試しみる価値はありそうです。

日本でもさく乳器はさまざまなメーカーのものがあり、手動や電動など自分のライフスタイルに合わせて選べます。ベビー用品レンタルサービスなどでも借りられるので、迷ってしまいそうなママは試してみるのがおすすめです!

 

文/阿部祐子