ドナーが増えない現状がある
日本では、実は、家族の同意さえあれば臓器の提供ができます。また、生前に「臓器提供をする」「臓器提供をしない」という意思表示をしておけば、それぞれ本人の意思は尊重されます。 多くの家族は本人の意思を尊重したいと思うため、生前から意思表示をしていたかどうかが、臓器提供のカギになります。しかし、意思表示をすることへのハードルの高さゆえ、ドナーが増えない現状があるようです。
現在、ヨーロッパにおいては、「臓器提供をする」いう意思表示をしている人が99%以上の国(フランス、ハンガリー、オーストリア、ポルトガルなど)と、20%以下の国(イギリス、ドイツ、デンマークなど)に大きく二つに分かれています。 その違いは、前者が「臓器提供をしない人」が意思表示をして登録する仕組み(=意思表示をしないと提供することになる)、後者は「臓器提供をする人」が登録する仕組み(=意思表示をしないと提供しないことになる)です。 日本は、「臓器提供をする人」も「臓器提供をしない人」も意思表示ができる仕組みです(=意思表示をしないと本人の意思がわからないまま家族が決めてしまうことになる)。 人は、「デフォルト」=「何もしない」ことを選びがちです。もし、日本で「臓器提供をしない人」が意思表示をしなければならない仕組みに変えたとすれば、ドナーは増えるのかもしれません。 でも、もしも仕組みを変えられたとして、本当にそれでいいのでしょうか? ドナーになるのかどうかは、誰もが「自分自身で」きちんと考えるべきことだと思うのです。