今や巷でもすっかりお馴染みとなった「高級食パン」。芳醇な香りに誘われついつい足が向くものの、毎日食べるものとなると「高級」と称される金額設定が気になりますよね。でもほかの食パンと違って、いったい何がどう高級なのか…。素朴な疑問を高級食パン専門店 嵜本に聞きました。

嵜本の素材は、どこまでこだわっているのか

高級食パンが一般的な食パンに比べて「高い」理由は、ずばり「素材の質の追求」「職人の丁寧な手仕事」によるものです。素材と製法にこだわるほど、当然、価格は上昇する傾向にあります。

 

そこで、嵜本の例を見ていきましょう。まず、パンはどんな小麦を使うかが、その味を決める重要なファクターとなります。

 

小麦とひと言で言っても、種類は無限にあります。そのなかから、さまざまな産地の小麦で試作をし、「小麦本来の香ばしい香り」「とろけるような歯ぎれの良さ」「食べたときのフワッとした軽さ」「喉越しの滑らかさ」など、複数の口あたりを軸として、おいしさを評価検討。使う小麦を厳選します。

 

こうして書くと数行で終わってしまうのですが…納得のできるおいしさにたどり着くためには、スタッフの並々ならぬ努力が必要となってきます。

 

おいしい食パンをつくるために、小麦粉の配合には試行錯誤を重ねてこだわった 

 

嵜本の場合、試行錯誤のうえたどり着いたのは、日本人がいちばん馴染みがある味を再現すると言われるカナダ産小麦と、グレードの高い北海道産小麦をミックスすること。

 

そして、オーナーの嵜本さんは「毎日安心して、おいしく食べられる食パンを作りたい」という思いでヘルシーなパンを目指しているそう。アレルギー体質の方でも安心して、美味しいと思ってもらえるように、「卵や乳製品を使用しない」という挑戦にも取り組んでいます。

 

とはいえ、そもそも食パンのやわらかさやうま味は卵黄によるものが大きく、風味にはバターが大きく関わっています。その2つを使わないとなると、それを補填するために「添加物」を入れることが多くあります。添加物は長期保存にも適しており、材料費もおさえられ、コスパよく食パンを作るにはとても便利なもの。ですが、それでは「安心安全に食べられる」という目標から外れてしまう…。

向かって左側に刻印がされているのが「極美“ナチュラル” 食パン」

 

この矛盾を日々模索し、納得のいく食パン「極美“ナチュラル” 食パン」をデビューさせるのに、2年もの歳月を費やしました。