「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんや素敵な旅を通じて、人と人を繋ぐ。そんな活動をしている料理家・ダーダこと山田英季さんによる、連載エッセイ。

 

山田さんが「とにかく、今これが食べたい気分」な美味しいレシピを、作っているときの熱量も一緒にお届けします。

#18 春まっさかりの白蛤とスナップえんどうの酒蒸し

3月に入って、鼻と奥がむずむずします。そうです、僕は花粉症です。

 

頭はぼんやりするし、気分もイマイチのらない。気候は最高なのに、家を出たがらない自分に毎年、「もったいないヤツだなー」ともうひとりの自分が呟きます。

 

さて、そんな中でもお腹は空きますので、春らしいごはん「白蛤とスナップえんどうの酒蒸し」を作ります。

 

今回はとっても簡単です。

 

まずは、春になると見かけ出す白蛤をゲットします。白蛤の別名は、ホンビノス貝です。スーパーではこの名前で売られていることが多いかもしれません。手に入らなければ、あさりでも蛤でもホタテでも構いません。

 

さて、白蛤は海水ほどの水(水に対して約3%の塩を加える)に浸けて、暗いところやお皿などをかぶせて1時間ほどおきます。


砂抜きが終わったら、殻と殻を擦り合わせて、しっかり洗いましょう。

 

スナップエンドウは、筋をとります。ぴーっと一発で取れると気持ちいいですよね。この作業、ぼくは好きです。

 

そうしたら、鍋にお酒を入れて、ひと煮立ちさせ、白蛤とスナップエンドウを加え、蓋をします。

 

そのまま弱火で6~7分ほど蒸します。途中、鍋を揺すって貝同士をぶつけてあげると、白蛤の殻が開きやすくなります。

 

蒸しあがったら、バターをひとかけ落として溶かします。白蛤の出汁の香りにバターの甘い香りが加わって、食欲をそそります。

 

それでは器にもりつけて、実食です。


白蛤をひと噛みすれば、びっくりするほど濃いうまみが流れ出し、スナップエンドウもシャキシャキ食感だけではなく、旬の甘味がたまりません。

 

たったこれだけで、春を味わえてしまうなんてとても幸せです。ぜひ作ってみてください。

4月の台所三箇条

    • 春はとにかく「貝」です!
    • 酒蒸しには、スナップエンドウや枝豆の緑をたす
    • 花粉に負けないぐらい美味しいものを食べる

「白蛤とスナップえんどうの酒蒸し」

本日の材料 ふたり分 (調理時間:15分)

・白蛤……………………7~8粒(ホンビノス貝)
・スナップエンドウ……20本
・酒………………………大さじ4
・バター…………………5g
・黒こしょう……………お好みで

作り方

①白蛤を砂抜きして、よく洗う。スナップエンドウは、筋をとる。
②鍋に酒を入れて沸かし、白蛤とスナップエンドウを入れて蓋をし、弱火で6~7分蒸す。
③蒸しあがったら、バターを加え、黒こしょうを振って、器に盛りつける。お好みで黒こしょうを振る。

料理製作・文・写真/山田英季 構成/松崎愛香