鯉のぼりについて話す義父

ひな祭りに端午の節句、クリスマスなどなど…季節の行事は、楽しみだけれど準備や片づけのことを思うとちょっとおっくうに感じてしまうことも。

 

三世代同居のわが家は、これらについて義父母が率先して動いてくれています。

 

それはありがたいのですが…。

雛人形はひとつじゃたりない、鯉のぼりは盛大に

わが家の季節行事は、以前はかなり真面目に、そしてそこそこ盛大にやっておりました。

 

義父母にとって、孫はわが家の二人兄妹だけ。溢れる孫への想いが局所的に集中して注がれているのです。

 

娘の雛人形は私の実家から送ってもらったお下がりなのですが、それでは物たりないらしく、小型の陶器でできた雛人形を買いたしてくれたり、羽子板や吊るし雛を買おうか?などと毎年のように提案されます(場所がないので激しく遠慮しています)。

 

初孫である息子の初節句には巨大な五月人形を買おうとし(必死で阻止してコンパクトな兜飾りを買ってもらいました)、鯉のぼりのために庭に高いポールを立てようか?と、冗談半分・本気半分で言う義父を慌てて押し留めたこともあります。

 

ハロウィンには玄関先にカボチャの置物が所狭しと飾られ、クリスマスには大きなツリーにリース、庭木には光るオーナメントが。いずれも、子どもたちにねだられてもなかなか腰が重い無精な私ではなく、義父母が率先して飾ってくれるものです。

 

行事の当日になれば、ひなまつりケーキにこどもの日ケーキ、クリスマスはもちろんケーキ…とりあえず季節の行事らしい行事にはケーキで祝う習慣となっております。この間はなぜかハロウィンにもケーキでお祝いをしました。

 

それはいいのですが、どんどん増えていくケーキチャンスに比例して、私の体重もどんどん増えていくのが困りものです。

暴れん坊猫により事情が一転

しかし、わが家に猫がやってきてからというもの、季節の行事飾り事情は一転しました。

 

特に、3年前、わが家の3匹目の飼い猫としてやってきた子は活発な性格の暴れん坊。おとなしくていたずらもほとんどしない先住猫2匹だけの頃はクリスマスツリーや雛人形も飾れていましたが、3匹目がやってきてからは諦めざるを得なくなりました。

 

なにせ3匹目は、とにかく高いところによじ登るのが大好き、目新しいものや揺れるものが大好き、おまけに体格も大きくてずっしりとしています。クリスマスツリーなんて飾った日にはその瞬間によじ登って倒されるのが目に見えていますし、雛人形なんてそれ以上の大惨事になるに違いありません。

 

こうしてわが家では数年前から、室内の季節飾りは大幅に省力化されました。

 

猫にいたずらされる心配のない玄関先、それから戸棚にしまえるサイズの小さな飾りや、壁掛けの季節の色紙などで辛うじて季節感を出すこととなりました…義父母が。

 

そしてあくまでも面倒くさがりの私は、壁にかかった雛人形の色紙を見て「わぁ〜春らしいですね〜ありがとうございます〜」と褒め称える役です。

唯一の嫁担当だった兜飾りもついに…

そんな私が唯一、季節行事の飾りを出す役目を担っていたのが、端午の節句の兜飾りでした。

 

これは義父母が息子に買ってくれたという義理もあり、そして何より、コンパクトで飾るのもしまうのもそれほど手間がかからないので(買うときに「なるべく小さいやつにしてください」と諦めず交渉してよかった…!)、これだけは私が毎年、玄関先の猫にいたずらされないスペースに飾るのが恒例となっていたのです。

 

そのはずだったのですが…。

 

息子が小さい頃は、それでもまだ兜飾りを見て喜んでくれていたのですが(自分で被ろうとするのは困りましたが)、成長するにつれ端午の節句への興味はゼロに。

 

そして私も年々仕事が忙しくなり、ついつい押し入れから飾りを取り出すのが遅くなり…。

 

毎日のように義父母から「兜はまだ出さないの?」「こどもの日が終わっちゃうわよ?」とせっつかれておりました。

 

そうこうするうち、一昨年あたりからはついに、痺れを切らした義父が自分で兜を出してきて飾ってくれるようになりました。

 

申し訳ないやらありがたいやら…と拝みながら、内心は「飾りたい人が勝手に飾るのが平和でいいよな…」などと思ってしまう罰当たりな同居嫁です。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ