皿洗いをする男性

男女かかわらず家事は分担するのが当たり前…ようやくそんなご時世になってきましたね。

 

わが家は夫の両親との三世代同居、しかも義母は世話を焼くのが大好きで、なかなか自分の息子に家事をさせようとはしませんでした。

 

しかし時代は変わり、そして迎えたコロナ禍…わが家の家事分担はどのように変わっていったでしょうか。

「家事は女がやるもの」という義母プレッシャー

わが家では長らく、夫の家事参加が、それとなく義母によって阻止され続けてきました。

 

いや、義母にはそんなつもりはなかったと思うのですが、夫が洗濯物を干しているのを見ては、なぜか私に「あら、洗濯物干してるわよ!」夫が食器を洗っているのを見ては「仕事してきたのに洗い物までしてるの?」(私も仕事してるんですが…)などなど…。

 

無意識のうちに、「家事は女(つまり義母と私)がやるもの」という考えが言動のあちこちに滲み、それが私に対する地味なプレッシャーとなるのが常でした。

 

しかしさすがに時代は変わります。義母も、夫の家事が当たり前という時代の流れを肌で感じているのでしょう。徐々に家事分担についての言動がマイルドになってきました。

義母が息子に家事を任せるように…!

さらにわが家にとって追い風となったのが、コロナ禍でした。出勤日が減り、在宅勤務や休みが増えて家にいることが多くなった夫と、出勤必須な職種のため忙しさに変化のない私。その様子を見て、息子に何もさせないのはおかしいのでは…と義母も考えを改めたようです。

 

今や夫が家事をしていても、私に何かアピールしてくることはなくなりました。それだけでも大進歩ですが、義母自身が疲れて早く休みたい日はむしろ積極的に「(夫)くん、あと片づけ頼むわね」と任せるようにまでなったのです!!

 

なんという変化…!人間、後期高齢者となっても変われるものなのだ…と、私は内心感動しております。

 

ちなみに義父もいますが、義父は日中の家事(昼ごはんのあと片づけなど)をやってくれているので、なんとなく夕飯片づけ要員からは除外されています。

家事分担化により混迷する夕食後の片づけ

しかし、夫の家事参加によって、思いがけない駆け引きが始まりました。それは、「夕飯のあと片づけ、誰がやるか問題」です。

 

以前は、夕飯のあと片づけは、私と義母のうち夕飯を作っていない方(たいていは義母)が担当する、というのが暗黙の了解でした。

 

しかし、私の仕事が忙しくなり義母の夕飯調理担当日が増えたり、夫の休みの日は夫が片づけをしたり…と、この暗黙の了解がだんだんと成立しなくなってきたのです。

 

私自身、以前は、仕事で疲れて帰ってきた日も、義母が夕飯作ってくれたんだしな…と、疲労困憊の体に鞭打ってあと片づけをしていたのですが、夫がやってくれるかも…となると、俄然指一本も動かしたくなくなってきます。

 

しかし、夫は夫で、休みと言っても実質在宅勤務で持ち帰りの仕事が多かったり、義父母に送迎や買い物を頼まれて一日中忙しくしていたりします。家にいるからって当たり前に夕飯の片づけを任されても…という心境もありましょう(これは、私が自宅で仕事をしている日に感じることでもありますので、夫の気持ちもわかります)。

 

そんな、誰しも疲れた日の夕飯が終わる頃、静かな駆け引きが始まります。

 

「私、観たいテレビがあるから」とそそくさと自室に引き揚げる義母。

 

「あっ、じゃあ私、お風呂入ってきちゃおうかな〜」と、いつもは渋る風呂に積極的に入ろうとする私。

 

「…」おもむろにゲームのスイッチを入れ、無言の抵抗を試みる夫。

 

完全に我関せずでゴルフ番組を観だす義父。

 

「勉強しようかな」と学生の金科玉条をかざして、さっさと逃げる子どもたち。

 

結果として、いつまで汚れた台所を放って置けるか…というチキンレースの様相を呈してきます。

 

たいていの場合、私か夫が負けて、夜も更けてから重い腰を上げる羽目になるのです。

 

「自分がやらなくてもいいかもしれない」可能性が、こんなにも皿洗いの気を重くさせるものだとは…よかったような、そうでもなかったような、複雑な心境の同居嫁です。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ