「『弱っちゃうんだ』っていうデビュー曲、どう思います?」と屈託のない笑顔で話す、島崎和歌子さん。今年で芸能活動33年を迎えますが、移り変わりの激しい芸能界でも、常に第一線で活躍し続けています。もはや、人気も地位も実力も兼ね備えているように感じますが、あることをきっかけに、自分を内省したとか──。
アイドルからの姉御キャラ
── 芸能生活はもう33年とのこと。はじめは、どういったお仕事からスタートされたんでしょうか?
島崎さん:
デビューはアイドル歌手でした。ステージで、マイクを持って歌ってましたよ(笑)。
デビュー曲は『弱っちゃうんだ』っていうタイトルだったんです。16歳のアイドルにしては、もっとアップテンポで、アイドルらしい感じがいいんじゃないかなって、当時から思ってました(笑)。
いまだに、マツコ、ミッツ、クリス。あのカタカナ3人衆から、今でも私のことを指して「弱っちゃうんだ!」とか言ってきます。
── そうなんですね(笑)。曲を出された後も、多岐にわたって活躍されていきますね。
島崎さん:
ありがたいことに司会、レポーター、女優…。色々なことをやらせていただきました。
今は、「タレント」と呼ばれることが多いかな。「タレント」という肩書は、その色々なことのすべてを入れることができるから、とても素敵な言葉だなと思っています。
── 「バラドル」「いじられキャラ」「姉御キャラ」など、そのときどきで、さまざまな言葉でも紹介されてきました。
島崎さん:
マスコミの皆さんが、いろいろ文言をつけてくださるんですよ。自分では何が何だか分からないし、変わったつもりもないんです。周りが流れていく感じというか。
私の写真集、誰が買うの?
── 芸能界で活動する中で、何か意識していることはありますか?
島崎さん:
「私はこうあるべき」みたいな意思は、あまり持たないようにしています。そこに強くこだわりはじめると、新しいことを吸収するチャンスが、どこかにいってしまいそうで。
たとえば以前、私の写真集を出したことがあったんです。そのお話がきたときは、自分でも思いましたよ。「私の写真集?誰が買うの?」って。でも、そう思いつつもチャレンジしてみたら、楽しかったですし。
── そうした経験の一つひとつが今に繋がっているんでしょうね。
島崎さん:
なんだか訳が分からないと言ってる間に、33年経ちましたね。
「この番組は島崎和歌子で見たい」と言われるために
── ところで、長い芸能生活で壁にぶち当たったり、不安を感じるようなことはありましたか?
島崎さん:
色々ありますが、ここ数年では2020年からの新型コロナの影響で、「この業界、代役なんていくらでもいるんだな」って思わされたんです。
やっぱり皆さんに、「この番組は、島崎和歌子で見たい」と言っていただけるタレントになりたい。
それこそ、オンリーワンにならなきゃいけない。でもオンリーワンって何なんだろうって。
そんなことを考えながら、改めて自分と向き合う大きなきっかけになりました。
── 『オールスター感謝祭』は、まさに“島崎さんで見たい”番組ではないでしょうか。
島崎さん:
アハハ。ありがとうございます。そういえば以前、『感謝祭』のスタッフさんが、「和歌子さん、この番組の総合司会を100歳までやりましょう!」って言ってくれたんです。
嬉しいですよね。とはいえ、生放送は瞬発力が必要だし、100歳なんて足腰も心配。さすがに無理だよねって冗談にして笑ったら、「大丈夫です!」って真顔で言うんですよ。
「問題はAIに読ませればいいんです。和歌子さんは、座ったまま『全員Stand up!』だけ言ってくれればいいんで」ですって(笑)!
── スタッフさんからも愛されていますね。
島崎さん:
どうなんでしょう(笑)。チャンスを逃さないように、なんでもやるって言いながら、「100歳は無理」って。自分で可能性を狭めちゃうところもありますけど。
それ以上にAI和歌子だなんて目からウロコ!大笑いしちゃいました。
PROFILE 島崎和歌子さん
タレント、女優。高知県出身。 1989年にシングル「弱っちゃうんだ」で歌手デビュー。ドラマやバラエティなど幅広く活動。野菜ソムリエの資格をもつ。1991年より総合司会をつとめるTBS系『オールスター感謝祭』は2022年3月で31周年を迎える。
取材・文/塚田史香 撮影/阿部章仁
衣装 トップス/La・Comfy、パンツ/Lallia Mu、ピアス/HANA.