結婚していても独身でも、子どもがいてもいなくても…みんな、ひとりで頑張っている。自分の人生は、ひとりで歩くべきときもあるから、結局はみんな“おひとりさま”──。そんな考えから、『みんな、本当はおひとりさま』(幻冬舎)を著した久本雅美さ(63)。芸能生活40年、50代以降は彼氏がいないという、ひとり身の“プロフェッショナル”にその極意を聞いてみました。
40代まではがむしゃらで“寝ない女”
── 3、40代の独身の女性は、結婚について揺れ動く時期だと思いますが、どう過ごしていましたか?
久本さん:
22歳で劇団『東京ヴォードヴィルショー』に入って、26歳で劇団『WAHAHA本舗』を立ち上げたので、20代はとにかく仕事にがむしゃらでした。
27、8歳のころから、テレビにも出演できるようになったので、劇団の広告塔になろうと頑張って30代のころまでは奮闘していましたね。
40代までは睡眠時間が少なくても平気だったので、刺激を求めて夜は演劇仲間や、作家さんたちとよく飲みに行ってました。
“寝ない女”と言われてましたから。どんな男でも落とせないという意味ではないですよ(笑)。
彼氏がいて、親が見合いを勧めたことも
── 当時は結婚、出産への迷いはありませんでしたか?
久本さん:
そんなに強い願望はありませんでしたが、彼氏がいた時期もありましたし、親から見合いの話がきたこともありました。
でも、結果は見ての通りです。結局、プロポーズされたこともないですし、仕事優先でそこまで結婚する覚悟がなかったということです。
当時は、女性芸人が結婚したら人気がなくなる、つまらなくなる、と言われていたこともありましたからね。
でも、まだあきらめたわけではないですよ(笑)。
結婚より自分の生き方を決めたほうが
── 久本さんほど打ち込める仕事や、バイタリティがない女性はどうしたらいいですか?
久本さん:
最近は必ずしも、結婚しなくてもいいという風潮になってきているので、意識しすぎないほうがいいと思います。
私が若いころと違って、婚活サイトやマッチングアプリのような便利なツールがあるんですよね?
本当に結婚しようと思えば、それを利用できるいい時代なので、あまりこだわらなくていいのではと思います。
大切なのは、自分がこれからどう生きていきたいのか、ビジョンを立てて実行することだと思います。
私は、悩んでいること自体、正解だと思いますよ。前に進もうとしているということですから。
でも、結婚はしないにしても、気が合うパートナーはいてもいいよね!
一生懸命打ち込んでいる姿をみせれば…
── お見合いの話もあったということですが、両親からの重圧は強かったのですか?
久本さん:
最初のころは、大阪から東京に出て、劇団という不安定の仕事をすることにはすごく心配していたようです。
でも、私がこの仕事に本気で打ち込んでいることを理解してからは、ほとんど何も言わなくなりました。
だから自分が一生懸命頑張っている姿をみせれば、回りを変えることはできるはず。
50代になってから、父親から“(結婚相手が)バツイチ、子持ちでもええで”と、かなり条件を変えてきましたから(笑)。
比べるなら他人ではなく…
── 友達が次々に結婚すると、心細くなることもあります。
久本さん:
他人と自分を比べないことです。比べるなら、昨日の自分とです。
昨日と比べてよりよく生きられたかを、心がけることのほうが大事ではないでしょうか。
結婚しても必ずしも幸せになるとは限らないし、残りものには福があるという気持ちで、大らかに前向きのほうが、人生を楽しめますよね。
私には近所に親しい友達や妹がいて、劇団には大勢の後輩がいるから寂しい思いをしない。
だから結婚できないと、島田紳助さんに言われたことがあります。当たっているかも。
ひとりでワインを飲みながら、『愛の不時着』を観るのって本当に至福の時間なんですよ!
孤独死しないですむ方法は…
── 支えてくれる女友達との友情も努力が必要だそうですね
久本さん:
そうですね。受け身の人間関係だと疎遠になりがちです。
自分から挨拶をする、食事に誘うなどして、私はあなたのことを気にかけていますよ、という心がけは必要です。
だからLINEもしますが、便せんやハガキは常に持ち歩いていて、簡単なお礼でもすぐに書いて、ポストに入れるようにしています。
そうすれば、孤独死しないですみますよ(笑)。
いい人がいつ現れてもいいように
── これから60代、70代をどう過ごしていきたいですか?
久本さん:
健康第一に、生涯現役を目指したいですね。
すでに徹夜で飲むような体力はありませんが、体のメインテナンスに気をつけながら、自分の好きなことを続けていきたいです。
いつ、いい人が現れるかもわかりませんからね(笑)!
PROFILE 久本雅美
1958年大阪府生まれ。佐藤B作さん主宰の劇団『東京ヴォードヴィルショー』をへて、柴田理恵さんらと『WAHAHA本舗』を結成。バラエティ番組やドラマに多数出演。近著に『みんな、本当はおひとりさま』(幻冬舎)がある。
文・写真/CHANTO WEB NEWS