子どもにおこづかいを渡す方法はいろいろありますが、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「お年玉と組み合わせで考えると、子どもに計画性が身につく」といいます。具体的な方法を教えていただきました。
「おこづかい」は計画的にお金を使うための教材
何度かこの連載でもお伝えしていますが、私はおこづかいを「子どもが計画的にお金を使えるようにする格好の教材」だと、考えています。
自分の欲しいものをできるだけ多く買うために、限られたおこづかいをやりくりすることで、計画性が養われるからです。
そこで、横山家では、子どもたちに「月々のおこづかい」と「お年玉の一部」を渡しています。
月々のお小遣いは小学生だと数百円程度が多いので、お菓子や文房具などは買えますが、ゲームソフトや洋服や関連する小物のような数千円レベルの高額なものはお金を貯めないとなかなか買えません。
そこで、高額なものを自分の判断で買えるように、お年玉をもらったときにその一部を渡すのです。
具体的には、年始めに「今年、買いたくなりそうなものがあるか」を聞きます。そして、お年玉のなかから、その分のお金だけを渡します。たとえば、お年玉を5万円もらい、1万円分の欲しいものがあったら、1万円だけを渡します。残りの4万円は貯金です。
どこまでお年玉を渡すかは、子どもの年齢に応じて柔軟に決めます。「ゲーム機のコントローラーが壊れかけているようだけど、大丈夫?」と子どもが気づきにくい出費があれば、親からアドバイスします。
あとは、自由にお金を使って構いません。横山家では、高額な買い物をしたいときは月1回の家族会議で申告するルールがありますが、1月に1万円の買い物をすることがあっても、本人がそうしたいなら止めません。
2月以降に「1月に全部使わなければ良かった…」と後悔することが、良い経験になるからです。この方法で、実際、横山家の子どもたちは、計画的にお金を使えるようになっています。
最近は、年始めに1年分のおこづかいを渡す「年俸制」にする人もいるようですね。考え方はそれと同じでしょう。
お駄賃を渡すやり方はアリ?
おこづかいの渡し方には、何か手伝ったときにお駄賃を渡す「報酬制」や、必要になったときにお金を渡す「そのつど払い」などもありますが、これらはおすすめしていません。
報酬制は「お金を得るには働くことが必要」という考え方を植えつけられるメリットはありますが、デメリットもあります。
「ぞうきんがけをするから10円ちょうだい」というように、お駄賃を渡さないとお手伝いをしなくなることです。そのつど払いは、「必要になったとき」の判断が難しいですし、何より計画性を養うことにつながりません。
おこづかいの渡し方は教育方針にもよるので一概には言えませんが、定額制をベースにするのが基本といえるでしょう。
監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ