家計見直しを提案する子ども

残業禁止やボーナス支給激減の企業は増えました。「コロナが収束すれば、以前のように残業代などの手当が戻るかというと、戻らない可能性は高い」と家計再生コンサルタントの横山光昭さん。収入減を踏まえて、家計を見直す際の最初に取り組むべきこととは?

収入減で住宅費が手取りの3割超えも

なぜ、コロナが収束しても、ボーナスや残業代が復活しないのでしょうか?会社の経営陣からすれば、緊急事態宣言中の赤字をカバーすることやコロナの再流行も警戒して、人件費を簡単に上げるわけにはいかないからです。最近は、どこの会社も、残業時間は厳しく制限されています。

 

収入が減り、苦しい家計を見直すときに最初に取り組むべきことは、大きな固定費を減らすことです。ここにメスを入れると、家計が大きく改善します。

 

なかでも最も家計に与える影響が大きい固定費は、住居費です。持ち家の人も賃貸の人も見直しましょう。

 

持ち家の人は、最初に「住宅ローンの見直し」から取り組むことをおすすめします。

 

ローン返済額の目安は手取り収入の25%までと言われますが、収入が減ったことで30%以上になっている人も少なくないようです。元の25%以下に戻すには、返済額を減らすことが欠かせません。

金利1%の差を甘くみてはいけない!

現在、住宅ローンの金利は変動金利が0%台で、低いものでは0.40.5%台。固定でも1%台です。

 

しかし、10年以上前に住宅を購入した人は、それより高い利率のローンを借りていることがあります。弊社のお客様でも、変動金利で2%台の金利で借りている方をちらほら見かけます。

 

住宅ローンの1%は小さな数字ではありません。3000万円借りていた場合、1%金利が違えば、単純計算で、返済額が年間で30万円弱も違います。10年単位で考えれば何百万円もの差になり、低金利のローンへの借り換えは検討しましょう。

 

もしまとまった額の貯金があるなら、繰り上げ返済もおすすめします。最近は非常に金利が低い上に、購入から10年間(一部13年)は物件価格×1%の住宅ローン控除が受けられるので、「返す方が損。繰り上げ返済したらもったいない」との声も聞かれます。

 

しかし、繰り上げ返済すれば、その分の金利と支払額が減り、長い目で見て大きなメリットがあります。余裕資金があるならば、少しは返済しておきましょう。

賃貸派は「家賃交渉」するのもあり

一方、賃貸住宅で暮らしている人は、更新時に家賃を下げてもらう交渉をしましょう。下がる確率は低いですが、ダメ元で申し出る価値はあります。家賃の安いところに引っ越すのも手です。

 

ただ、固定費の中で最も高いとはいえ、住居費を減らすだけでは、強い家計に改善できません。通信費や自動車代、保険代など、固定費を中心にすべての支出を見直してみましょう。

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ