ふだん何となく使っているSNS。眺めているだけで、自分で発信するのはためらったり、何を投稿するか迷う人もいるのでは?SNSマーケティングのプロ・朝山高至さんは、自分のテーマやワクワクするコア(芯)が見つかれば、世界観が変わると言います。
何を投稿したらいいかわからない人へのヒント
—— SNSって何となく発信はしてはいるものの、ときどき何を投稿しようか迷ってしまいます。
朝山さん:
ビジネスではなく個人としてSNSを使うなら、まずは大前提としてシンプルに楽しむことが大事です。その上で、何かテーマを決めると発信しやすいですね。
たとえば、「自分が気づいたらつねにやっていること」や、「人に言われなくても自ら動き出してしまうもの」とか、テーマがあるとやりやすいかもしれません。
—— たしかに興味・関心があるものだと熱量があるのでイメージが湧きやすいですね。しかし、これといった趣味もなく、人より秀でたものが見当たらないと感じている人もいると思います。たとえば朝山さんは、どうやってテーマをみつけましたか?
朝山さん:
少し過去に遡りますが、僕は高校生の頃、めちゃくちゃ引きこもりだったんです。自分に自信がなくて、人とコミュニケーションをとることが苦手でした。
しかし、あるときこのままではまずいと思って自分を内省したんです。すると、実はギターや楽曲を製作することが好きだとか、いつか海外に行ってみたいとか、いくつか自分がワクワクするものがでてきました。
さらに、その自分がワクワクすることの中で、コア(芯)にあるものって何だろうと深堀してみると、“自分の知らなかった世界に触れて、自分独自の世界を表現すること”だと次第に分かってきたんです。
そんな“ワクワクのコア”が分かったことで、SNSのテーマはもちろん、人生においても、そこにそって活動するよう意識しています。
—— ちなみに自分を内省する方法は、どうやって?紙に書き出したりしたのでしょうか。
朝山さん:
自分が過去に没頭したものとか、今熱中しているもの、そしてこの先やってみたいことを紙に書きだして、そこから共通項を見つける作業をしました。自分がどんなことに興味・関心があるか知っておくことは、SNSだけでなく人生の選択肢を増やすと思います。
「続けていけば、きっと楽しくなる」その訳は
—— ところで、SNSによって使い方や特徴があるのでしょうか。
朝山さん:
たとえばTwitterやInstagramは、友達とつながる場所でもある。リアルなつながりがない場合でも、趣味を通じて情報を得たり、コミュニケーションをとることもできます。
また、最近のInstagramの傾向として、検索機能として活用する人が増えています。たとえばカフェを調べる場合、「#渋谷カフェ」とか、「#新宿カフェ」と検索すると、それぞれのカフェの情報がビジュアルを通して伝わります。
また、YouTubeやTikTokは、好きなインフルエンサーやクリエイターさん、アーティストなど、情報を継続的に視聴する場所として使っている人もいますね。
—— 使い方は色々ですね。
朝山さん:
どのSNSを使っても、やっぱり自分が面白いと思って取り組むことがいちばんだと思います。自分の興味関心があることを発信して、さらにフィードバックが受けていくと、もっとやりたい!と思えるような環境になっていくかなと。
—— フィードバックはやはり大切ですか?
朝山さん:
モチベーションにもつながりますね。今、興味・関心が分かっているものはもちろん、まだ完全にはワクワクしていないけれど、なんか面白そうな予感がするものってあると思います。その場合も、まずは軌道にのせてみること。
たとえば、定期的にブログを発信するとか、YouTubeに動画を上げるとか、Twitterでも何か投稿を続けてみる。そうやって少しずつ継続した先に、誰かからコメントやリアクションがもらえると嬉しいですよね。
人って脳の疲労を避けるために、基本的には大変なこと、面倒なことをやりたくないんです。でも、はじめは大変でも心地良いフィードバックやリアクションがもらえることによってドーパミンが出る。それで、またやりたい!と気持ちのサイクルを作っていくと、気付いたら楽しくなってワクワクしていると思います。
PROFILE 朝山高至さん
人材系企業で基幹事業のデジタルマーケティング全般を担当し、2019年にSNSマーケティング支援・グローバルでのソーシャル・ビッグデータの流通と分析を行う株式会社ホットリンクに入社。企業のInstagramマーケティング支援や、ソーシャルメディアマーケティングの研究機関「ホットリンク総研」の研究員としてInstagramマーケティングのメソッド開発に従事。
取材・文/松永怜 撮影/伊藤智美