「人は今、感じていることを引き寄せる」と話すのは累計600万部を超える作家の浅見帆帆子さん。ただ、それでは、過去に辛いことがあり、心の奥に悲しみを抱えている人が幸せを感じるのは難しいのではないでしょうか。どうすれば過去の執着から解き放たれ、幸せを引き寄せられるのか、浅見さんに伺いました。

過去にとらわれても損するのは自分

── 「引き寄せの法則」と言われるものを著書でも紹介されていますがどういったものでしょうか。

浅見さん:

「あなたが純粋に意識を向け続けたことをそのまま引き寄せる」というのが引き寄せの法則です。意識を向けていても、心のどこかで「無理」と思っていると、いつまでたっても「無理」という現実しか引き寄せないことになります。幸せなことを考えていれば、幸せなことを引き寄せます。

 

── 過去の辛い経験に縛られて、気持ちのどこかで悲しんでいる人には、悲しいことが引き寄せられてきてしまうのでしょうか。

 

浅見さん:

ほとんどの方が過去を考えたら良くないのはわかっています。でも、辛かった考えから離れられないということになってしまうことはありますよね。

 

過去に起こったことを冷静に分析するとわかりやすいのですが、それを思い出して、反省したり、相手を憎く思ったりしても、過去の事実は変わりません。それが過去を考えても意味がない理由の1点目です。

 

考えて変わるならたくさんやった方がいいと思うんですよ、反省したり、怒ったり。でも何も変わらないのであれば、それをやって、すごく嫌な気持ちになるのは「今の自分」じゃないですか。

 

そうすると、嫌な言い方ですが、損をしているのは自分だけになるんですね。誰かのことを怒ったり、憎んだりしても、その人は今は、のほほんと過ごしていて、損をしているのは思い出して苦しんでいる自分だけなんですよ。そう考えるとやっぱり意味がないわけですよね。

過去やったことはそのときの自分にとってベストな選択

── とはいっても、過去の辛い体験を無意識に呼び起こしてしまう場面もあると思うのですが。

浅見さん:

そうですね。ただ、過去を考えても意味がない理由の2点目になるのですが、「過去に自分がやったことは、そのときの自分にとってベストな選択」だったんですよ。

 

浅見帆帆子さん
講演中の浅見帆帆子さん

 

考え抜いた末の結論であっても、周囲の意見に流された結果であっても、自分にできる精一杯のことはしたと思うのです。

 

今考えてもベストだったと思えると、後悔の念に駆られることもなくなるのではないでしょうか。

ベストな選択だったと思うと未来が変わる

── 意思の強さが必要そうですね。

 

浅見さん:

過去の自分の選択を「あれで良かったんだ」と思えると、気持ちがラクになるのはもちろん、これから先に起こることも変わってきます。これが引き寄せの法則のすごいところで、「思った通りになる」のです。

 

例えば、Aを選びたかったのに選べなくて今の私が後悔しているとします。Aを選んだ自分もいるはずだ、と思っているわけです。

 

でも、あのときAを選ばなくてよかったんだ、これから先、本当にAが必要であれば、Aが先にまたやってくるなと思えるようになると、また再びAに出会う未来がやってくるんです。

 

引き寄せの法則に手遅れということはないので、今、この瞬間から、その考え方を変えるだけで未来が変わってきます。

 

── 悲しんで執着するより、あれがベストと思うといい方向にいくんですね。

 

浅見さん:

捉え方というのは癖なので、慣れてくると簡単にできるようになります。 最初は今までの考え方の癖を変えるわけですから、頑張ってやる期間が必要です。2週間ぐらいでしょうか…。もし過去の忘れられない嫌なことを思い出して憂鬱になりそうになったら、「いやいやあれは最高の選択だったんだ」と思ってみる、そうすると本当に「あの時はあれで良かった」と感じられることが未来に起こることもあります。あなたが捉えた通りに展開していく、ということを忘れないでください。

 

PROFILE 浅見帆帆子

浅見帆帆子さん
作家。東京生まれ。大学卒業後ロンドンに留学、帰国後出版した『あなたは絶対!運がいい』他、著書はシリーズ累計600万部を超え、世界でも出版されている。近著は『やっと本当の自分で生きられる』。連載、講演、YouTube、ファンクラブを通し、読者との交流も活発に行う。

取材・文/天野佳代子 写真提供/(株)ホホコスタイル