持ち前の明るさで人気を集め、現在、夕方のニュース番組のメインキャスターを務めるフジテレビアナウンサーの榎並大二郎さん。第1子の誕生後に2週間の育休を取得しました。その間に投稿された、育児や家事に関するInstagramの動画は再生回数が急上昇。大きな話題を呼びました。
今回は、筋トレを取り入れた寝かしつけ法など、話題になった育休中のエピソードをご本人に伺います。
男性の育休「2週間休むのは入社13年目で初めてのことで」
── 第1子のご誕生、おめでとうございます!父親になってみていかがですか?
榎並さん:
ありがとうございます。初めて我が子を抱いたときは、愛おしさよりも「これでしっかり抱けているのかな?」とか、不安が勝ってしまって。首が座っていないのが怖い、何かあったらって…そっちにばかり意識がいってしまいました。
次第に、子どもがだんだんと物が見えるようになり、私とも目が合うようになってきて。それでやっと「あぁ、我が子!」と、親の実感が沸いた感じです。
育休中を通して感じたのは、妻のほうが子どもの理解が早いこと。
子どもが泣いているとすぐ抱きかかえ、それでも泣き止まないと「オムツ大丈夫?」「暑いんじゃないかな」と。子どもの変化に敏感ですね。
その点、私は子どもが泣いたら「まず抱っこしなきゃ!」という気持ちが強くて、泣いている理由まで察することができないんですよね。例えば寂しくて泣く場合は、泣き方が違うらしいのですが、その違いを見分ける力も今はまだ習得中です。
── 育児に奮闘されている様子がよくわかります。2週間の育休を取られたわけですが、そもそも取得のきっかけは何でしたか?
榎並さん:
例年、夏に1週間の夏季休暇をとっていたのですが、今年はそこに有給休暇をプラスして、育休にできればと考えていたんです。
会社に妻の妊娠報告ができる時期になり、当時の上長に報告をしたところ「おめでとう!育休どうする?」って、まず聞かれて。来年から法改正で育休制度の説明、取得する意思を確認することが義務になりますよね
(※)。それってすごく大きなことだと実感しました。上長のこの言葉に背中を押されて、「きちんと育休をとろう」とすんなり決意できました。
※令和4年4月1日より育児・介護休業法の改正法が施行され、事業主が育児休業制度等に関する事項の周知と休業の取得意向の確認を個別で行うことが義務付けられる。令和4年10月1日からは産後パパ育休についても対象。
── そのときの奥様の反応はいかがでしたか?
榎並さん:
育休を取得できると思っていなかったようで、上長から「育休取ったら?」って言われたと話をしたら、とても喜んで、安心していましたね。私自身も予想外の返事というか、その場で言ってもらえるとは思っていませんでした。その後、社内でもすでに育休を取得していた先輩や後輩からも、たくさんアドバイスをもらいましたね。
── メインキャスターをお休みすることに抵抗はありませんでしたか?
榎並さん:
帯番組を1週間休むことはあっても、2週間休むことは入社13年のなかで初めてでした。代行の調整もしてもらうため、「いいのかな、どうかな」という気持ちは正直ありました。
ただ、番組側も育休取得に対してとても理解を示してくれ、とんとん拍子で話が進んでいきました。
そして、社内には育休を取りやすい環境があったということもわかったんです。自分が声をあげたことで改めて会社の育休制度もきちんと知ることができました。
寝かしつけに悪戦苦闘!初めての育児奮闘記
── 育休中の生活について伺います。どのように過ごしていたか、一日の流れを教えてください。
榎並さん:
9時くらいに息子が起きるのですが、妻と息子が起きる前に時短の料理動画を見ながら朝ごはんの用意をしました。なるべく妻にはまとまった睡眠時間を取ってほしかったので。料理は得意ではないのですが、テイクアウトに頼ってばかりいられないし、やらなきゃと思って一念発起して作っていました。
息子が起きてからは保湿や着替えをして。日中は音がするおもちゃなどを使って遊んでいました。
ベッドメリー(音が鳴ったり人形が旋回する赤ちゃんをあやすアイテム)を寝かせているときにつけているのですが、最初は音に反応するくらいだったのが、だんだん動くものを目で追うようになってきて。「おっ、ついに興味を示し始めた!」と、徐々に変化する子どもの反応によって、その成長がわかりました。
榎並さん:
子どもができてから、家事は洗濯物が圧倒的に増えました。バスタオルや子どもの服を、洗って干して、畳んでしまって。しまう場所も、最初は苦労しました。短肌着、長肌着、ロンパース…もう、どれが何だかわからなくなってしまって。
買ったものも、いただいたものもたくさんあるのですが、息子は暑がりだったので結局いつも花火の絵柄がついたガーゼの同じ服を選んで着せていました(笑)。
夫婦の決め事として、夜しっかりと寝られるように夕方から沐浴の時間までは寝かせないようにしていました。だんだんと眠くなってぐずるのですが、「ここが勝負だ」と。
沐浴が終われば、妻が着替え、授乳、寝かしつけを担当し、そのあいだに私が夕食の支度をします。「寝かしつけ終わったよ」「お疲れ様でした!」とリビングで夕ご飯を食べる、というのが流れでした。
後半の1週間はばっちりこのルーティーンがはまって、確実に6時間はまとまって寝られるようになりました。
一日が本当にあっという間でしたね。
── すごいですね!
榎並さん:
一人じゃできなかったことだと思うので、夫婦でできたということが大きかったです。
── 寝ているときに子どもが泣いても父親は気がつかない、とよく言いますよね。母親は子どものちょっとした声やしぐさでも気がつくのですが。
榎並さん:
気づいているけれど、まどろみのなかで妻に「頼んだ…」って感じだと自分では思っていたのですが、本当に気づかなくて。気がつくのは妻が起きてからなので、うっすら(償いに)肩をもんでみたり(笑)。
自分は夜寝させてもらって、その分、日中にしっかり動いて腕を上げていくようにしました。
── 育児で、特に苦労した点は何ですか?
榎並さん:
泣き止ませるのと日中の寝かしつけです。本当に置いた瞬間に「オギャー!」と泣きますね。
「背中スイッチありますよね」って、インスタでも育児あるある話としてコメントをいただきました。難しかったですし、今もクリアされていないですね。
「深い眠りに入ってから置いた方がいいですよ」と聞いて、そうか、と。でも10分でしびれをきらしてしまったりして、寝かしつけはいちばん難しいですね。
── いろいろと育児も工夫されていますよね。スクワットで寝かしつけをしているのをSNSで見ました(笑)
榎並さん:
スクワットは運動不足解消にはなりましたが、地味にダメージが来るので(笑)。基本的にはずっと歩き回っていました。あと、フジテレビアナウンサーの西山喜久恵先輩から「うちはバランスボールで寝かしつけしていたよ!」とアドバイスをもらって。お、それは買うしかない!と。
── うちも使いました、バランスボール(笑)
榎並さん:
立つでもないし、ちゃんとした姿勢で揺れを与えられて、そんなに動かずに子どもに落ち着きを与えることができるので助かっています。
体幹も鍛えられますし!(笑)
…
慣れない育児に奮闘しながらもアイディアと工夫で試行錯誤されている榎並さん。次回は育休中に反響が大きかったSNSのエピソードや、意識が変わった家事への取り組み方、育休後の現在についてお話を伺いました。
PROFILE 榎並大二郎さん
1985年東京都生まれ。2008年(株)フジテレビジョン入社。「笑っていいとも!」「バイキング」などを担当し、2020年9月より「Live Newsイット!」のメインキャスター。プライベートでは2016年にモデルで美容研究家の有村実樹さんと結婚。2021年夏に第1子となる長男が誕生。9月下旬、2週間の育休を取得。
文/内橋明日香 写真/榎並大二郎Instagram(enami_daijiro)より(本人提供写真除く)