「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんや素敵な旅を通じて、人と人を繋ぐ。そんな活動をしている料理家・ダーダこと山田英季さんによる、連載エッセイ。

 

山田さんが「とにかく、今これが食べたい気分」な美味しいレシピを、作っているときの熱量も一緒にお届けします。

#13 家事のご褒美、焼き鯖のごましそチャーハン

最近、引っ越しをしまして、使わなくなったものを捨てたり、掃除用具を新調したりしました。身軽になるとなんだか、動きやすいですね。

 

僕はよく、掃除をしながら、終わったら何を食べようかと考えてしまいます。

 

今回、食べたいと思ったのは、焼き鯖です。脂の乗った鯖をグリルで焼いて、しょうゆをたらし、湯げの上がる炊き立てのご飯にワンバンさせるやつを思い浮かべます。

 

でもそれでは芸がないし、せっかく家事をがんばったのにご褒美にならないので、どうしようかなと、掃除機を片手に思いを巡らせました。

 

そこで思いついたのが、焼き鯖のごましそチャーハンです。

 

まずは、鯖を4等分に切って、グリルで表面がこんがりとなるまで焼きます。

 

焼き上がったら、半分は、ほぐして骨をとりましょう。

 

焼いている間に、しそは細切りに、長ねは小口切りにします。焼き鯖の油っぽさを爽快にしてくれる薬味なのでたっぷり使います。

 

フライパンで米油を温め、ほぐした鯖を加えて、木べらで抑えながら、表面がカリカリになるまで炒めます。こうすると食感や少し焦げた風味が食欲をそそるのです。

 

そこへ、ごはん、長ねぎ、しそ、ごまを加えて、混ぜながら炒めます。フライパンをあおったりせずに、木べらで混ぜれば大丈夫です。

 

ここでチャーハン豆知識のご紹介。

 

チャーハンのお米は、研ぐ、浸水させる、浸水させた水を捨てる、お米と同じ量の新しい水を加えて炊く。

 

こうすることで、浸水させた時に出る、でんぷんを取り除き、粘りけが少なく炊くことができるので、パラパラのチャーハンが作りやすいです。

 

そうしたら、味をつけます。今回は焼き鯖のうま味を存分に味わいたいので、とってもシンプルな味つけです。おしょうゆと黒こしょうのみです。

 

調味料を入れたら、手早く混ぜましょう。所々、おしょうゆ色に染まっていないところがあるぐらいが、ちょうどいいです。

 

器に盛りつけて、残しておいた、焼き鯖、長ねぎ、しそを盛りつけます。

 

ひと口食べると、焼き鯖の脂の甘味とプチプチと口の中で弾けるごま、その後に、しそと長ねぎが、私は今、何か口にしましたか?と思わせるぐらい口内を爽やかにしてくれます。

 

ぜひ、家事のご褒美にお召し上がりください。

11月の台所三箇条

  • チャーハンのお米は、研ぐ、浸水させる、浸水させた水を捨てる、お米と同じ量の新しい水を加えて炊く
  • おしょうゆベースのチャーハンは、まばらがぐらいがちょうど良い
  • 家事のご褒美は、食材を選んで、少しアレンジ

 

「焼き鯖のごましそチャーハン」

本日の材料 ふたり分 (調理時間:30分)

・ごはん………2膳
・鯖……………1枚
・しそ…………10枚
・長ねぎ………1/2本
・ごま…………大さじ1
・しょうゆ……大さじ1と1/2
・黒こしょう…少々
・米油…………大さじ1と1/2

作り方

①しそは細切りにする。長ねぎは、小口切りにする。しそと長ねぎは、仕上げ用に少しとっておく。
②鯖を4等分に切り、グリルで焼き、骨をとっておく。
③フライパンで米油を温め、鯖の半分を入れて、木べらで潰しながら、表面がカリカリになるまで押さえつけながら炒める。
④❸にごはんを加えて、ほぐしながら炒め、長ねぎとごまを入れて全体を混ぜるように炒める。
⑤❹にしょうゆ、黒こしょうで味を調え、しそを入れ、さらに炒める。
⑥器に盛りつけ残り半分の焼き鯖を乗せ、その上に残しておいたしそと長ねぎを乗せる。

料理製作・文・写真/山田英季 構成/松崎愛香