借金に苦労し任意整理した女性

ごく普通の生活を送っているように見える2児のママ。じつは、総額300万円以上、カードローンやキャッシングで借金をしていました。

 

彼女は昨年、任意整理をして、今後5年かけて返済していくことを決意。「もう絶対借金はしない」、そう話す女性の胸の内をうかがいました。

転職で収入減、カードローンでつい1万円を

小学生と中学生の2児の母であり、事務職として働くパピコさん(44歳)。もともと専門職として月30万円ほど給料をもらっていました。会社の経営が傾いたため、2004年頃、事務職に転職。月収が10万円ほど減りました。

 

「それでも、欲しい服は気兼ねなく買って、好きなときに飲み会や旅行に行くなど、生活レベルは変えませんでした。お金がたりないと思ったときに、カードローンで1万円程度を借りるようになりました」

 

当初はすぐに返せる額だったので、ボーナスで返済するつもりだったそう。借りるのは月に12回。カードローンは気軽に利用できるため、少しずつ借金への抵抗が薄れていきました。

 

「気づけば、1回あたり、23万円とじわじわと借りる額が増えていき。独身時代は、見栄っ張りなところがあるから、誘われれば旅行も高級なレストランも行きました。いつの間にか買い物もクレジットカードでするように。一括で払えないときは、カードローンを利用していました」

 

2007年に結婚、その後2児を出産しましたが、借金癖は改まりませんでした。

結婚後も借金し続ける毎日。気づけば総額300万円以上に

結婚後もお金がないと言えず、夫や子どもから、何か欲しいと言われると買っていいよと言っていたそうです。

 

「高い買い物はクレジットカードのリボ払い、生活費がたりなくなったらキャッシング。リボ払いや分割払いで、支払いは増えるいっぽうでした」

 

家計はパピコさんが管理していたため、夫は家計の事情を知りません。気づいたら、借金総額は300万円以上にふくれ上がっていました。

「絶対、言えない」借金のことは家族にも秘密

当初、借金は自力でなんとかしようと、自分の給与のすべてを返済に充てていました。

 

「家計を見直そうとしても、何から手をつけたらいいかわからない状態。仕事や子育てで忙しく、投資や副業など、収入アップの工夫もしていませんでした」

 

この状態での完済が困難なのはわかっていましたが、夫や家族には知られたくありませんでした。

 

「信頼関係や絆が壊れるのがすごく怖かったんです。今の幸せを失うくらいなら一人で頑張ろうと思っていました」

 

けれど、返済どころか、借金は着々と増えていきます。その頃知ったのが、任意整理です。

 

任意整理とは、弁護士が債権者と交渉し、月々の返済額を減らすよう求めたり、法外な利息の請求を停止し、借金の額を減らしたりするもの。一方で、完済から5年間はクレジットカードや各種ローン、消費者金融の審査に通りづらくなるデメリットも。

 

もちろん、弁護士への相談も考えました。でも、勇気が出なくてなかなか一歩を踏み出せませんでした。

 

次第に、借金を返済するために新たな借金を作るのが日常的に。持っているすべてのカードの限度額が超えると、新しいカードを作ってしまうのです。もう限界でした。

 

「任意整理をすると、クレジットカードは使えなくなります。でも、自分はそれくらいの荒療治が必要でした。苦しい状況から抜け出すため、法律事務所を訪れようと決意しました」

もう限界法律事務所に相談中、夫に借金がバレた

法律事務所で相談したところ、任意整理した場合と、しない場合のそれぞれの支払い総額など、丁寧に説明してくれました。

 

「任意整理の手続きはとても簡単でした。法律事務所に行くか迷っている間にも借金が増えていたので、もっと早く相談すればよかったです」

 

ほっとしたところに、新たな問題が。ずっと秘密にしていた夫に、借金を抱えていることがバレたのです。

 

「夫名義の家族カードは任意整理できないので、リボ払いのままに。これまでは先回りして口座に入金していましたが、あるとき入金額がたりず、カード会社から夫に連絡が入ってしまったんです」

 

“どういうこと?と聞かれ、借金をカミングアウト。夫は数日間、口を聞いてくれませんでした。

 

借金よりも、隠されていたことが悲しいと言われたことが、今でも頭から離れません。信頼していないってことですもんね。夫を悲しませることにもなり、つらかったです」

 

カミングアウトしたときには、離婚も考えていると告げられたパピコさん。ショックで自分は存在してはいけない人間のように感じられました。

 

「今後についても話し合わなければいけないのに、ギクシャクしたまま時間だけが過ぎていきました」

夫から救いの言葉が。もう一度やり直したい

罪悪感のせいで、パピコさんからは話しかけられない状態でしたが、夫からもう内緒はなし。ちゃんと全部話し合って、どうするか考えようと言ってくれたそうです。

 

「暗闇にいるところに、救いの手を差し伸べられた気持ちでした。夫のほうがつらかったはずなのに。もう絶対、夫を傷つけることはしないと誓いました」

 

改めて任意整理に至った経緯を説明しました。クレジットカードは絶対に使わない、一緒に家計をチェックしてほしいなど、今後についての相談もしたそうです。もともとの借金は、約315万円。任意整理後、過払い金があるとわかり、235万円に減額されました。今後、5年かけて返済する予定です。

 

「以前は、月にどれくらいお金がかかるのかさえわかっていませんでした。今は家計簿をつけ、お金の流れを把握できるように。月の予算も決めて、それ以上の出費はしないようにしています。当たり前かもしれませんが、それができていなかったから、借金が増えたんですよね」

 

夫や子どもから何かほしいと言われても、今は、本当に必要でないものは購入しません。現金主義にし、分割払いや後払いは絶対にしないようにしています。堅実な家計を心がけ、借金完済に向けて頑張っています。

 

「夫は、俺が一括で借りて、全部一度に返そうと提案してくれました。でも、これ以上負担をかけるわけにはいきません。地道に自力で返そうと思っています。借金で大事な家族の信頼を裏切ってしまいました。二度と夫を悲しませないためにも、今後、絶対借金はしません」

パピコさんブログ https://ameblo.jp/pa-pipupe-papico/
※上記は、パピコさん個人の経験談・感想です。

文/齋田多恵