共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

「働くをもっと楽しく、創造的に」を企業ミッションに、他社にも働き方改革を提唱しているChatwork株式会社。

コロナ禍で誰もが働きづらさを感じる状況のなか、いち早くリモートワーク特有の課題を見つけ出し、その解決のための新しい施策に取り組んできたといいます。

 

ライフステージによって抱える課題が多種多様であることも指摘され、個別具体的な支援が必要とされています。1人ひとりの悩みに寄り添い、課題解決をサポートするための取り組みについて、ピープル&ブランド本部の内田良子さんに伺いました。

 

Chatwork本社社屋
コロナ以前の東京オフィスの様子。

個々の状況に合わせてフレキシブルに対応できる仕組みづくり

── 緊急事態宣言下では幼稚園・保育園が休園、小学校が休校になったことで、お子さんのいる家庭ではリモートワークがしづらいなど、さまざまな局面も浮き彫りになりました。そういった問題についてはどのような対策を講じられたのでしょう?

 

内田さん(Chatwork):

当社では昨年5月に「新型コロナウイルス感染症に伴う勤務体制ガイドライン」を作成しました。これは、厚生労働省や経団連のガイドラインを参考にベル4〜0のルールを設定するものです。

 

特にお子さんのいる共働き家庭では業務に支障が出やすいことから、振替休日の活用やフルフレックス、オフィス出社の許可(一定の条件を満たした場合のみ)、特別休暇の付与など4つの対応を試みました。夫婦で休みの日を変えられるようにしたり、10時から16時のコアタイムを解除することで、仕事がしやすい時間に働けるようにしたり、という具合です。

 

また、お子さんが自宅にいる環境でワンオペ状態になってしまった社員には、ムリをして仕事をせず、育児に専念できるように特別休暇制度の利用を促すなど、個々の状況に合わせて対応できるようにしました。

 

Chatwork・内田良子さん
ピープル&ブランド本部 副本部長の内田良子さん。「働くをもっと楽しく、創造的に」を社内で実現すべく、制度設計や人材育成に取り組んでいる。

 

── 自分からなかなか「休みたい」と言い出せない人もいそうですよね。上司や同僚からのそういった声がけには救われると思います。

 

内田さん(Chatwork):

まさにそういった社員をサポートすることが必要だと思っています。実際、男の子2人のワンオペ育児中の女性社員が「しんどい」と漏らしていたのを上司が耳にし、特別休暇を勧めた例があります。「一回休んで家事・育児に集中したら?」と。その結果、「いい気分転換ができ、仕事にも前向きに取り組めるようになった」と喜んでいたようです。

 

また、新入社員へのケアも課題となったため、昨年4月より「人事部と気楽に1on1」といった取り組みや毎日オンラインランチができる環境を整備するなどの施策も継続して行っています。このオンラインランチは好評で、昨年4月入社の社員からは「Chatworkのカルチャーを体感できてよかった」という声が上がっていました。

社内制度を取引先への働きかけの足掛かりに

── 2度目の緊急事態宣言が発令された今の勤務状況はいかがでしょうか。

 

内田さん(Chatwork):

宣言前までは「原則在宅勤務」で、諸事情による一部の出社が認められていましたが、今年に入って緊急事態宣言が出されたのちは、昨年の緊急事態宣言発令時期と同様、再びオフィス出社禁止としています。引き続き、社会状況に応じたフレキシブルな対応を継続していく予定です。

 

── テレワークの需要がますます高まるなか、オフィスの在り方や必要性そのものが問われる時代となりました。御社の制度そのものが、これからの時代を生き抜く新しい働き方のモデルになりそうですね。

 

内田さん(Chatwork):

そうですね。社員一人ひとりの心身の健康を第一に考え、バランスのとれた勤務体制を構築することが、よりよい事業環境を整えることにつながり、将来的には社会貢献になると考えます。そのためにも今後は自社だけでなく、取引先にもリモートワークのロールモデルになれるように積極的に弊社の取り組みを伝えていきたいと考えています。

 

 

社員が「一歩先の働き方」を実現できるようにバランスの取れた勤務体制を構築する努力を惜しまない。その姿勢が結果的に業績向上の一助になったことは間違いなさそうです。チャット事業自体が社会の課題解決のカギを握る今、Chatworkの働き方の変革は社会全体に良い影響を及ぼすに違いありません。

 

取材・文/梶 謡子