女性は社会情勢の影響は受けにくいとされてきたが…

── コロナ禍以降の女性の自殺者数の変化はどうでしょう。

 

上田さん:

コロナ禍以降の日本の自殺者数は前年の同じ月と比べ、4月、5月は大幅に減っていました。しかし、7月から増加に転じ、その後も徐々に増え続け、10月はプラス40%という数値になっています。

 

とくに女性は増加率が高く、7月はプラス42%、10月はプラス83%に。昨年10月の1.8倍という数です。研究者の目から見てもこれは異常な増え方で、女性たちにいったい何が起きているのか、調べる必要性を感じています。

 

年齢別に見ると40代未満の女性の増加が一番多いですね。中高生から大学生までの学生の自殺も大幅に増えていて、そちらも女性のほうが増加率が高いです。

平成29年〜令和元年中における自殺の状況 資料および令和2年の月別自殺者数について(11月末の暫定値)|警察庁より編集部作成

 

── 何が原因なのでしょうか。

 

上田さん:

警察庁のデータによれば、女性が自殺する理由として一番多いのは例年、健康問題とされていました。男性の自殺者数は経済状況や社会の変動に大きく左右されるのに対して、女性はこれまで社会情勢にあまり影響を受けてこなかったのです。

 

ただ、2020年のコロナ禍でその状況が変わってきているように思います。