新型コロナウイルスの影響により激動の一年となった今年、社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば「サスティナブル(=持続可能な)」。化粧品業界でも、パッケージや使う原料を環境に負荷をかけないものに変えるなど、社会的に持続可能な取り組みを行うムーブメントが起きています。
そんな背景を踏まえ、今注目のブランドとその取り組みについてご紹介します。
「オーガニックを日常に」を実現!累計1500万個を販売
長年「意識の高い人たちが買うもの」という位置づけだったオーガニックコスメ。それを課題ととらえて「良質ながら手に取りやすい価格設定に」という難題に取り組み、みごとに実現したのがカラーズです。誰もが気軽にオーガニックコスメを体験できる環境をつくりたいという思いを込め、2012年に「アルジェラン」を世に送り出しました。
「マツモトキヨシ」オリジナルのオーガニックブランド
この「アルジェラン」は、ドラッグストアの代名詞「マツモトキヨシ」のオリジナルブランドとして、ヘアケアアイテムからスタート。ボディケア、リップケア、スキンケアなど次々とプロダクトを展開し、注目を集めました。ドラッグストアで本格的なオーガニックコスメがこの価格で買えるなんて!と当時は驚いたものです。ヘアケア、ボディケアはオーガニックコスメの入り口にもなるプロダクト。価格以上の魅力が「アルジェラン」にはあり、実際使うとそのテクスチャーの素晴らしさにさらに魅せられてしまうのです。
質の高さと低価格の両立にこだわりつづけた
特筆すべきは、2016年に発売された初のスキンケアシリーズです。なんと、洗顔アイテムをのぞくすべてのアイテムにオーガニック認証を取得!しかもリーズナブルな価格で納得の効果と実感が叶えられるのですから、「マツモトキヨシ」を訪れた誰もがその登場に驚いたことでしょう。
それまでも、いわゆる“ナチュラル&オーガニック風情”のプチプラ商品はありました。けれども、「アルジェラン」ほどオーガニックにこだわりながら、手に取りやすさを念頭に企業努力を重ねつづけたメーカーはほかに見当たりません。実際、使ってみて期待を裏切られたと感じる人が多かったならば、累計1500万個の売り上げは達成できなかったはずです。
独自分析で厳選した植物から生まれた渾身のスキンケア
2020年、「アルジェラン」はさらにサスティナブル&エビデンスを追求する、新しいステージへと進化。オーガニックの強みを追求し、植物の力を最大限に生かしたオーガニックコスメをつくるべく動き出しました。
植物の力を独自の測定に基づいて分析し、原料から厳選。誰もが納得するエビデンスを取り続けました。その結果、数多くの植物のなかから“めぐり”をキーワードに5種の有用植物を厳選。ウンシュウミカン果皮エキス、パッションフルーツ種子油、ダルスエキス、バオバブ種子油、アシタバ葉/茎エキスの複合成分「フィトフォースコンプレックス」を開発し、アイテムに合わせて、最適な比率で配合しました。
また、クラリセージ、ネロリ、フランキンセンスの精油をベースに、カテゴリーごとに異なる香りをブレンド。極めつけは、スキンケア製品の多くは、世界最大のオーガニック認証機関である「エコサートグリーンライフ」のコスモスオーガニック認証を取得したというから驚きです。まさに渾身のスキンケアシリーズがロンチされました。
ローションは保湿タイプと超保湿タイプの2種類を用意。セラムオイル、乳液、クリーム、クレンジングオイル、クレンジングミルク、洗顔フォームの8品のラインナップです。気になる価格は、セラムオイルの1980円(税抜)が最高値と嬉しい設定。「日常使いできるオーガニック」の考え方はそのままに、前回をはるかに超えるスキンケアシリーズと言えるでしょう。
巡らせる植物エキスが凝縮!深い香り、贅沢な使い心地
スキンケアの最初に使う高保水化粧水の完成度は素晴らしく、何度もしつこいようですが、この価格でこのクオリティか…!と思わずにはいられない逸品。これ実は、美容液と同じ手法で製造しているのだとか。厳選された植物5種をブレンドしたフィトフォースコンプレックスとともに、肌に存在する“水の通り道=アクアポリン”に着目し、ザクロ果実エキスを配合しています。
とろみのあるテクスチャーで、クラリセージ、ネロリ、フランキンセンスに、シダーウッド・バージニア、ベチバーなど、心を鎮静させる香りの素晴らしいブレンド。肌に優しくなじんで、深い深い潤いと癒しを与えてくれます。肌の調子が良く乾燥が気にならないシーズンなら、これ1本でもいいくらいしっとりとした保湿感です。
クレンジングオイルは、コメヌカ油をベースとした100%植物由来。保湿感と弾力のあるオイルがメイクとよくなじんで、皮脂汚れまですっきりと落としてくれます。どの製品も植物のパワーが感じられる、素晴らしい使い心地と肌仕上がり。ぜひ体感してみてください。
サスティナブルへの本気度が今後20年の目標に表れている
「アルジェラン」のスキンケアシリーズをロンチすると同時に、カラーズは今後20年の目標に社会、人、地球へ恩返しする会社に進化することを明言。橋本宗樹代表は、地球温暖化、海洋プラスチック問題などの社会問題に言及し、これらの問題に積極的に取り組むことを約束しました。掲げた目標を確実に達成していくために、全ての部署にサスティナブル担当を配置するという徹底ぶりです。
さらに、「アルジェラン」をサスティナブルなオーガニックコスメブランドへと進化させるために、原料などは副産物を利用したり、環境負荷を低減した製法の原料を積極的に採用していくことを決めています。また、産地が明らかな植物原料を使用することはもちろん、生産地の土壌や栽培方法、成分の抽出法など、トレーサビリティの明確化や環境保全型の栽培方法や住民の雇用などがかなう原料をも取り扱っていく方針だそう。
容器、資材についてはバイオマス容器を積極採用し、森林保護へも配慮。環境対応方インキをスキンケア製品の化粧箱には採用するなど細かなところでもサスティナブルなものづくりを実施しています。
ストレスにさらされた人をサポートする独自の取り組みも
さらには、免疫力&抗酸化力強化、幸福度アップといったエビデンスつきの精油レシピをwebで公開するという、化粧品メーカーにとっては前代未聞のチャレンジも!この取り組みは、ストレスに悩む人を助けたいという思いから始めたものだそう。
まさに持続可能な社会のためにあらゆる問題を解決していくという、企業としての強い意気込みが感じられます。今後はどんなチャレンジで私たちを驚かせてくれるのか、ますます目が離せません!
文/久保直子 撮影(静物)/清永 洋