アイドル沼にハマり、向かう人生は…
ワカコさんは地下男性アイドルやご当地アイドルに入れあげるようになりました。現地に出かけ、ネットで仲間と情報交換、いち早く次なるアイドルを見つけ出すこともしています。
「プレゼントもしますよ。喜んでくれてツーショット写真でも撮らせてくれれば、もうそれで大満足です」
何度も顔を見せるうちに、相談をもちかけられることも。頼られれば、さらに燃えるのがファン心理。ファンを超えて、彼女としてはお母さんと慕ってほしいのかもしれません。
「パートの時間を増やし、さらにFX投資なども始めてみました。お金はいくらあっても足りないから。夫からは『夢中になれるものが見つかってよかったね』という認識なんですよね。私が若い男に夢中になっていても心配ではないみたいです」
苦笑いしつつ、ふと寂しそうな表情にもなるワカコさん。「写真を撮るくらいですむはずもないのに」とぽろりとつぶやきました。
「いえ、何でもありません。有能な若い子たちを具体的にどうやって売り出したらいいのか、もっと私に企画力があればと思うこともあります。でもファンの立場から、これからも芽が出る前のアイドルを推していきたいと思っています」
生まれて初めて夢中になれることがあって、家族も応援してくれている。そういえば「ていのいい話になりますよね」と、彼女は少し皮肉っぽい笑みを浮かべました。
文/亀山早苗 イラスト/もちふわ
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。