子どもの将来には可能性しかない

感覚過敏の課題解決に取り組む会社を企業した加藤咲都美さんと息子の路瑛さん

 

── 息子の路瑛さんは中学1年生のときに親子起業で会社を設立。現在は「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏向けのサービスや商品の開発にも携わっています。そんな息子さんを、どのように見ていますか?

 

加藤さん:

やりたいことに挑戦していく息子を見ていてわかったのは、子どもにもいろいろな生き方があること。優等生じゃなくても、学校に通わなくても、人生は終わらない。彼の将来に不安ばかりを抱いてきましたが、そこには可能性しかないのだ、と気がつきました。

 

最近、息子が「感覚過敏は才能だ」と言うんです。味覚が敏感ならちょっとした味の違いにも気づけるし、遠くの音が聞こえることをスポーツに生かした人もいる。社会生活の中で生きづらさを感じやすいけれど、特有の「困りごと」を解消することができれば、個としての才能で輝ける人も多いと感じていいます。

 

これからも、感覚過敏研究所は感覚過敏の課題解決に取り組んでいきます。当事者の皆さんが、感覚過敏は才能だと胸を張って言える社会になってほしいですね。

 


PROFILE 加藤咲都美(かとう・さとみ)さん

息子の路瑛さんが12歳で立ち上げた株式会社クリスタルロードで代表取締役を勤める。15歳未満の子は法人登記できないため、同社は路瑛さんが取締役社長、咲都美さんが代表権を持つ「親子起業(R)」スタイルで起業。2019年「感覚過敏研究所」を立ち上げ、当事者である路瑛さんを中心に、感覚過敏の啓蒙と課題解決に取り組んでいる。

取材・文/有馬ゆえ