「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんや素敵な旅を通じて、人と人を繋ぐ。そんな活動をしている料理家・ダーダこと山田英季さんによる、連載エッセイ。
山田さんが「とにかく、今これが食べたい気分」な美味しいレシピを、作っているときの熱量も一緒にお届けします。
#04「おいしい冬の支度。豚肉とえびの白みそバター鍋」
北風がぴゅーっと吹きはじめましたね。
外に出る時は、マフラーにくるまり、寝る時は毛布にくるまる。コタツなんかも出してきたりして、うたた寝なんかもする季節到来。
こんな時期のラッキーフードは、“鍋”の一択です。
さてさて、「今日は、鍋にしよう。」そう思う冬の日は、星の数ほどあれど、なに鍋にするかは、いつもの悩み。
水炊き、キムチ鍋、豆乳鍋、ちゃんこ鍋、しゃぶしゃぶ、すき焼き。これぐらいが、定番なのではないでしょうか。
今年は、もう一つ新しい鍋を覚えましょう。
レパートリーが増えれば、この冬は勝ったも同然です。用意するものはこちら。
豚しゃぶしゃぶ肉…200g
有頭えび……………200g
大根…………………1/3本
青ねぎ………………2本
バター………………20g
和風だし……………1ℓ
酒……………………大さじ2
白みそ………………大さじ4
しょうゆ……………大さじ1/2
鷹の爪の輪切り……1本分
ポイントは、有頭えびと白みそです。
「白みそは他の料理に使えるか不安」、「結局、冷蔵庫の奥にずっと置いてしまいそう」などなど、不安の声が聞こえてきますが、まずこの冬は、大丈夫。
なぜなら、あなたはこの鍋のおいしさに、今季だけで4、5回は食べることになるからです。
そして、もう一つのハードルが有頭えびです。
もちろん、えびの頭から出るみそは、鍋を格段においしくしてくれます。
だがしかし、無ければ無いでも、おいしいのが“バターと白みそ”の底力。 えびは無理に入れずとも良しです。そのときは、黒こしょうをたっぷり振るとアクセントになっておいしいです。
ちなみに、さらにおいしくするなら、毛がににするのもおすすめです。
割と安く出回ることもあるので、すかさず買っておきましょう。
そのときは、蟹を味わいたいので、豚肉を入れるのはナンセンス。
さて、準備に取りかかります。
まずは、大根の皮を厚めにむいて拍子切りにします。
大根の皮は鍋には使いませんが、せん切りにして大根の葉と一緒に、ごま油で炒め、しょうゆと少し砂糖を加えて、鰹節をあえると最高のご飯の供になります。
おいしい脱線をしましたが、お鍋の話に戻ります。
鍋に、大根と和風だし、酒を入れて、コトコトと大根が柔かくなるまで煮込みます。
えびは、頭と胴にわけて、足と背ワタをとります。
大根が煮えたら、しょうゆを入れて、白みそを溶かし、鷹の爪とえびの頭を加えて5分ほど煮ます。
そして、味見。
大根から出ただしに白みその香り、えびのみそも加わって、ただただ「おいしい」と囁いてしまう。
火を強めて、えびと豚肉を加えて、グツグツさせると、もう湯気だけでおいしい。
火が通ったら、バターと青ねぎをたっぷりとのせてできあがり。
この鍋のおいしいポイントは、食べている間、極々弱火にかけ続け、たまにえびの頭を潰して、みそをスープにしっかりと出すこと。
そうすると旨味がどんどん出てくるので、自分の器によそう度、おいしく味が変わります。
最後に雑炊をするころには、「このコクとうま味はどこからやってきた!」と思うのほど最初とは別人のおいしさ。
やっぱり冬の食卓は、湯気もおいしい鍋が嬉しいですね。
11月の台所三箇条
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- この冬は白みそバターで乗り切る。
- 鍋の日は、有頭えびor毛がにを探せ。
- 冬の食卓では、湯気も一緒に味わいましょう。
「豚肉とえびの白みそバター鍋」レシピ
本日の材料 4人分 (調理時間:30分)
豚しゃぶしゃぶ肉…200g
有頭えび……………200g
大根…………………1/3本
青ねぎ………………2本
バター………………20g
和風だし……………1ℓ
酒……………………大さじ2
白みそ………………大さじ4
しょうゆ……………大さじ1/2
鷹の爪の輪切り……1本分
作り方
①大根の皮をむいて、拍子切りにする。青ねぎは、斜め切りにする。えびは、頭と胴に分けて、足と背ワタを取る。
②鍋に、和風だし、酒、大根を入れて、柔らかくなるまでふたをして煮る。
③②にしょうゆを加え、白みそを溶かす入れる。
④③に鷹の爪、えびの頭を入れて、弱火で5分煮る。
⑤えびと豚しゃぶしゃぶ肉を入れて、弱火で3分ほど煮る。
⑥仕上げにバターと青ねぎをのせればできあがり。
雑炊の作り方
鍋の具材を食べ終えたら、ごはんを入れて一煮立ちさせ、とき卵を入れて蓋をする。たまごが半熟状に固まったら、器に盛り、黒こしょうをふる。
<おまけ>
気仙沼に行ってきました。
土曜日限定でオープンするカフェ「かもしか堂」。
僕は、お店を切り盛りする遠藤さんが作るプリンが大好きです。
そして、ポップアップショップをやっていたRIASWOODさんのバターナイフとジャムスプーン、さんまの形のマドラーを買いました。
カッティングボードは、「使ってみてください」とプレゼントしてくださいました。(料理家になってよかった)
どれも、これから使うのが楽しみです。