貯金や家計管理の話をしようとすると、のらりくらりと逃げる夫。その態度にイラッときて、「ちゃんと聞いてよ!」というと、「うるさいな!」と言い返されて夫婦ゲンカに。そんな悩みを抱える人は少なくないでしょう。夫婦間で冷静にお金の話し合いをするためには、どうすればいい?家計再生コンサルタントの横山光昭さんにアドバイスしていただきました。 

「言い方」を変えれば、9割はもめなくなる!

 「夫婦でお金の話をすると、すぐにケンカになる」という話は、私もよく耳にします。弊社の家計相談でも、「夫婦だけでは話し合いにならないから、利害関係のない人に見ていてほしい」という理由で、訪れるご夫婦が少なくありません。

 

将来を考えれば、お金の問題は真剣に話し合うことが不可欠です。ただ、夫婦のどちらかがのんきだったり、いい加減だったりすると、一方はついキツい言い方をしてしまいがち。冷静に話し合うためには、言い方を変えることも大切です。

「ちょっと得しそうな話」から入ってみる

 妻が真剣に考え、夫がいい加減でケンカになるパターンでよく見られるのは、話を持ちかけたのに、夫が面倒くさがって応じないことです。これを解決するポイントは、本題ではなく、軽い話題から始めること。それも、「ちょっと得しそうな話」から始めると良いでしょう。

 

今なら、 「『マイナポイント』が話題になっているけど、始めた方がいいかな?」 「うちも、GOTOキャンペーンで、どこか旅行する?」 といったことです。

 

このような軽い話から始めると、いつもは面倒くさがる夫も、話に乗ってきやすくなります。そんな軽い話題で会話のきっかけをつかんだら、その流れで貯金や生命保険などの本題を持ちかけてみましょう。そうすれば、夫も「いま、忙しいから」とは言いにくくなるはずです。

「押し付け型」ではなく「相談型」で

 貯金や保険などについて話し合っている途中に、ヒートアップしてきて、ケンカになることも、よくあります。そうならないためには、言い方を工夫しましょう。

 

まず大切なのは、どんな話題に関しても「相談したい」というスタンスで臨むことです。「生命保険に入ることにしたから」「今月から小遣いを1万円減らします」と、相談なしに結論を押しつけたら、誰だって反発したくなります。

 

「生命保険に入りたいと思うんだけど、この特約どうかな? 意見を聞かせて」 「今年は教育費も思ったよりかかりそう。レジャー代や小遣いを少し減らせると助かるんだけど、相談にのってもらえないかな?」などと、相談をもちかける形をとりましょう。

 

そうすれば、相手もスムーズに話し合いに応じてくれるでしょう。小遣いの減額のように、自分が使えるお金が少なくなることには反発するかもしれませんが、少なくとも、聞く耳を持ってくれる可能性はあります。

「反対意見」を通すためのコツとは?

話し合いをするなかで、時には、相手の提案に対して、反対したくなることもあるでしょう。たとえば、相手が提案してきた医療保険に対して、あなたが「高額すぎる」と感じたとしましょう。

 

しかし、理由も聞かないで、「国の高額療養費制度もあるのに、そんな高い保険に入るなんてムダ」だとか、「それよりまず貯金でしょ?」などといって、頭ごなしに反対したら、相手も良い気分はしません。

 

こうした場合には、まず、相手の考えを受け止めるようにしましょう。医療保険なら、「確かに医療保険は必要だよね」と同調します。その上で、「医療保険の金額を下げても良い」と思えるような、代わりの案を出して、説得するのです。

 

たとえば、「掛け捨ての医療保険に月6000円支払うなら、医療保険に払うのは月4000円にして、残りの2000円を貯金するのはどうかな? そうすれば、病気にならなかった時でも、月2000円ずつ貯めたお金が残る。万が一病気になってお金が足りなくなったら、その貯金からまかなえばいい」などと提案するわけです。

 

とくに男性を説得する時には、数字を使って説得しましょう。そうすると、納得してくれる確率があがります。

 

以上のように、ちょっとした言い方の工夫をすれば、夫婦ゲンカをすることなく、きちんとお金についての話し合いができるようになるはずです。夫婦がお互いに歩み寄る状況を作ることを意識しましょう。

 

監修/横山光昭 取材・構成/杉山直隆 イラスト/村林タカノブ