共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

1964年にリース事業から始まったオリックスは、さまざまな分野に進出し、今では法人金融、産業/ICT機器、環境エネルギー、自動車関連、不動産関連、事業投資・コンセッション、銀行、生命保険など、事業内容は多岐にわたり、世界37カ国・地域でグローバルに展開しています。

 

2005年に導入された「キャリアチャレンジ制度」は、部門の垣根を越えて、自らが希望する部署と直接面談することで、さまざまな仕事に挑戦できるFA 制度。さらに仕事と育児の両立支援の制度も充実しているオリックスでは、ライフステージやキャリアに合わせた柔軟な働き方を可能としています。今回は、キャリアチャレンジ制度の導入の背景と、育児支援への取り組みについて、グループ人事部の担当者にお話を伺いました。

多様な事業を手掛ける中で、「自分が働きたい場所」を選べるように

——FA制度を導入している企業は、今でこそ増えてきていますが、オリックスでは2005年という、早い段階で制度化されていますね。

 

河津さん:

当社では「キャリアチャレンジ制度」というネーミングで導入しています。事業が多角化していく中で、「自分が働きたい場所」を社員が自分の意志で選べるよう、人事として社員の背中を押せるきっかけを作るため、導入に至りました。

 

——当時は社員からの「別分野の部署へ異動したい」という意見も高まっていたのでしょうか?

 

河津さん:

そうですね。年一回、全社員を対象に行っている自己申告の中でも、法人営業の業務に携わっていた社員が「投資銀行業務や海外事業に行きたい」という希望が出るなど、別の事業分野への異動希望が増えてきていたのも事実です。

 

キャリアチャレンジ制度の導入以前は、人事部主導の人材配置のみをしていましたが、新しい事業が増えていく中で、「人と仕事の面でミスマッチが出てくるのでは」という懸念もありました。それであれば、希望する部署に、自ら門を叩いていける制度があっても良いのではと。

 

——異動希望申告での人事異動と、キャリアチャレンジ制度を使っての異動では大きく違うのは受動的か能動的かということでしょうか。

 

河津さん:

自己申告は全社員に出してもらうもので、「異動したいか、したくないか」も含めて、自分が今後どうしたいかを社員が直接人事に伝える仕組みです。「まだ今の部署で頑張りたい」という人ももちろんいますし、「そろそろ他の部署での業務も経験したい」という人も。

 

キャリアチャレンジ制度は、異動希望者が希望部門と直接面談を行うので、「この部署に行きたい!」という、強い希望がある場合に活用してもらいます。

 

河津俊介さん/2005年入社。グループ人事部人事チーム所属

 

——実際に制度化されて、どのくらいの社員が利用していますか?女性社員も積極的に活用されているのでしょうか。

 

河津さん:

制度導入直後から、毎年約100名のグループ各社社員が応募していますね。国内のオリックスグループの社員数が約1万人弱、その中の100名程度なので、ずば抜けて多いという印象はないです。

 

キャリアチャレンジ制度の女性の利用比率は3割程度。実際に異動する年齢層は2030代半ばと若手が中心です。当社ではキャリアチャレンジ制度とは別に、4556歳の社員を対象にした「45歳からのキャリアチャレンジ制度」や57歳以上の社員を対象とした「シニア社員向け社内公募」も導入し、キャリアを積んでからも今後の自身のやりたい仕事について主体的に考え、チャレンジできるような工夫をしています。

 

——どの年代にも間口を広く、挑戦したい気持ちを応援する姿勢が伺えますね。

 

河津さん:

当社では、事業内容が多岐にわたるので、業界をまたぐ異動がずっと前から活発でした。「入社したら同じ部門で垂直にキャリアを積む」という概念はなかったですね。

 

——横の広がりを意識した人事配置が以前からあったということですね。キャリアチャレンジ制度を導入して見えてきた課題はありますか?

 

河津さん:

事業領域が多岐に広がっているため、社員が各事業部門の具体的な仕事内容が分からず手を挙げにくいという意見もあります。それからやはり、「希望して異動となったが、思っていた仕事と違った」という意見も異動後に出てくることもあります。希望を出して面接に受かったらゴールではないということを、希望者も受け入れ側も、しっかり認識していくべきだと感じています。