共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

親と子どもが一緒に働ける選択肢の一つとして、会社全体で子連れ出勤を取り入れているモーハウス。実はこの発想自体がとても「日本的」なものだと、海外からも注目されています。海外と日本での子育てへの考え方の違いや子育てしやすい社会について、引き続きモーハウス代表の光畑さんに伺いました。

 

PROFILE 光畑由佳さん

モーハウス代表取締役兼NPO法人子連れスタイル推進協会理事。1997年自身の電車内での授乳体験をきっかけに、産後の新しいライフスタイルを提案する「モーハウス」の活動を開始する。自社で実践する「子連れワークスタイル」は国内外から注目され、女性のチャレンジ賞など受賞歴多数。ネパールでの女性の仕事の創出、乳がんを含むユニバーサルデザインブラの開発等に取り組んでいる。政府関係の有識者会議委員ほか、2014年、16年に開催された「APEC女性と経済フォーラム」では日本代表の一人としてスピーカーを務める。その他、茨城県ユニセフ協会理事、茨城大学社会連携センター顧問、筑波大学大学院非常勤講師、東京大学大学院学際情報学府客員研究員としての顔も持つ。三児の母。

 

働く女性ならではの授乳服ニーズ

──モーハウスは授乳服やマタニティ商品を中心に取り扱っています。ひと昔前ではこうしたアイテムを使う女性は専業主婦が主でしたが、働く女性が増えることで生まれたニーズはあるのでしょうか?

モーハウスではオフィスでの着用できるような落ち着いたデザインの授乳服も人気商品のひとつ

 

光畑さん:

そうですね…実際、授乳服を使っている方の中には、第一線で働く女性、弁護士やジャーナリストなど専門職の方も多いです。そのため仕事場に着て行ける授乳服も作ってはいますが、オフィスでのドレスコードもカジュアルになってきたので、オフィス専用のアイテムが欲しいという声はあまりないですね。また働くママたちの間では、保育園のお迎え後に近くの公園ですぐに授乳をしたり会社で搾乳するために、職場に授乳服を着ていく人も多いようです。ですから、オフィスシーンでも浮かないきれい目のデザインの授乳服は人気ですね。

 

──お迎え後にすぐ授乳をしたいから授乳服を着ていくというのは少し意外でした。

 

光畑さん:

授乳は親子のコミュニケーションも兼ねますからね。当社は子連れ出勤できますが、現在は0歳児から預けないと保育園に入れないケースも多いですよね。そのため、働きたいと考えている女性は、早くから子どもを預けざるを得ないという状況になってしまっています。地域や個人差もありますが、「制度に人が合わせている」逆転現象も問題だと感じています。

 

当社の働き方を他の全ての企業が取り入れるというのは、現実的には難しいでしょう。ですから、まずは自分の望む働き方を選択したいと思っている女性を、授乳服を通してサポートしていきたいですね。

 

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